おかわり君が、ひと振りで決めた。西武中村剛也内野手(31)が0-1で迎えた6回1死一塁から、被安打1本で好投していたロッテ開幕投手の涌井をとらえた。カウント1-0からの2球目を左中間席へ逆転3号2ラン。3試合無安打が続き15打席ぶりの安打が、値千金の1発になった。西武はこの1点リードを守りきって連敗を2で止め、2位に踏みとどまった。

 きれいな放物線を描いて左中間席中段に、逆転弾は舞い落ちた。真ん中外寄りのカットボールをジャストミート。中村は表情を変えずにダイヤモンドを1周した。「アレが入らなかったら野球やめます。それくらいの感じ」と言って笑った。軽いスイングでヘッドが走った。それまでの鬱憤(うっぷん)を吹き払うように。

 3試合12打席ヒットが出なかった。7日の日本ハム戦でメンドーサのクイックに崩された面もあったようだ。「タイミングは悪くなかったけど、すごい心配でした。打ちたい気持ちでイライラして、力みになっていた。だから適当にやろうと」。ムダな力が抜けた分、インパクトだけにパワーが伝わったのだろう。

 自分なりに微調整をしてきた。試合前に行うフリー打撃前。ふだんはトス打撃をするが、開幕3試合目からスタンドティーに変えた。「前はよくやっていたんですけどね」。久しぶりに取り入れ、ボールの角度やタイミングを確認してきた。宮地打撃コーチは「感じるものがあったんでしょう。自分で微調整できるところが並じゃないんです。心配はしていなかった。元気で4番に座って、三塁を守ってくれているだけで御の字」と言った。

 体調面で一塁やDHに回れば、チーム全体にひずみが出るからだ。ここ2年は故障で出遅れたことを考えれば、多少当たりが出なくても主砲がいれば相手へのプレッシャーは違う。それでも中村は「大して働いてない。そう簡単にはいかないけど積み重ねていきたい」と、まだ全開にならない打線を引っ張っていく気構えだ。

 田辺監督もホッとしていた。「ヒットじゃ納得しないでしょ。彼らしい1発で仕事をしてくれた。乗っていけるんじゃないか。次につながる」と明るい材料を歓迎した。次は、ひと振りでなく、おかわりでチームに勢いをつけたい。【矢後洋一】