「考える足」ことソフトバンク周東佑京内野手(23)に走塁の極意を聞く「潜入」の後編は走塁編。
周東の強みは盗塁だけでなく、1点を生み出す走塁のうまさにもある。ただ速く走ればいいと思っていたら、大間違いだと気付かされた。【取材・構成=浦田由紀夫】
◇ ◇ ◇
二塁から単打で一気に本塁へ。一塁から単打で一気に三塁へ。外野の間を抜ける打球を放てば、一気に三塁を狙う。盗塁同様、走塁は快足選手の見せどころ。そこにも周東なりの理論がある。
(1)ベースは内側の角を蹴るイメージで踏む 速くベースランニングをする上で、ベースを踏む場所は大事だ。
周東 僕はベースの「内側角」を足の土踏まずで踏んで、ベースに足を引っ掛けて前への推進力を得るようにしています。ベースに足全部を掛けると滑ることもあるし、スピードを得られません。
(2)打球判断からのスタート感覚は普段の練習でつかむ 塁に出た場合、打球によってスタートを切るタイミングは、速ければ速いほどいい。そのタイミングはどう計っているのか。
周東 僕は本塁投球と同時に横にステップして、ちょうど右足が地面に着くか着かないかくらいのところで打者のインパクトが来るようにしてます。これは普段から、味方の打撃練習時に塁上にいて、スタートを切る練習をして磨いています。試合に入れば味方の打者でスタートを切るわけですから、その打者の打ち方などインパクトの瞬間を普段から知ることは大事です。
(3)スタートは脱力から瞬間的にトップギアへ 二盗はリードをとって止まった位置からスタートするが、打球判断からのスタート時は、どうトップスピードに乗るか。
周東 二塁走者の時などは、感覚的にはボーッと突っ立っている感じです。体から力が抜けている状態から、打球で一気に走りだします。その方が格段にスタートが速いです。普段のウオーミングアップからそのコツを練習しています。
(4)本塁突入では基本的に回り込まない 本塁に回り込んで手でタッチするシーンが見られるが、周東はよほどのことがない限り、三塁から見て一番手前の角を、左右どちらかタイミングが合った方の足で突き刺すイメージだという。
周東 捕手の(野手からの送球への)捕球動作を見て、ベース手前が空かない状態になってしまう場合を除いて、最短距離を選択します。それは本塁ベースの手前の角。そこに足を刺す感じです。
(5)ギャンブルスタートは勇気と開き直り 三塁走者では、投球がバットに当たった瞬間に本塁へスタートを切るサインもある。どんな心構えなのか。
周東 打ったら走るサインだが、打ってから走っては遅い。当たる前にスタートを切る。打者が打ちにいってインパクトになる直前にスタートを切るイメージです。スクイズも、右投手ならスタートが速いとバレるので、右腕が上がったところでスタートします。打者が失敗すれば打者が悪いと思い、打者が空振りすればサインを出したベンチが悪い、というくらいの開き直りの気持ちでいます。
育成入団2年目の今年、開幕前に支配下契約を勝ち取り、足だけで侍ジャパン入りした。オーストラリア戦(11月11日)では二盗、三盗を続けざまに決め、セーフティーバントで同点のホームを奪った。そこには、足が速いだけではできなかった「周東理論」があった。来季以降、理論に裏打ちされた技術は、さらに磨きがかかっていくに違いない。(おわり)
◆周東佑京(しゅうとう・うきょう)1996年(平8)2月10日、群馬県生まれ。東農大二3年夏の県大会では高橋光成(現西武)擁する前橋育英に敗れ準優勝。東農大北海道オホーツクでは14年明治神宮大会、15~17年全日本大学選手権出場。17年育成ドラフト2位でソフトバンク入団。18年は27盗塁でウエスタン・リーグ盗塁王。今年3月に支配下選手登録。今季は102試合に出場し23試合に先発、代走を中心に25盗塁をマークした。179センチ、67キロ。右投げ左打ち。



