ソフトバンクのリリーフ陣が執念の投球で引き分けに持ち込んだ。10回に登板した嘉弥真新也投手(30)が5戦連続無失点の好投を見せるなど日本ハム打線を封じた。負ければ、工藤政権ワーストとなる借金4の危機だったが、踏みとどまった。

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10回表の攻撃は無得点。勝ちの可能性はなくなったが、その裏のマウンドには鉄壁の男が立ちはだかった。嘉弥真だ。今季ここまで完璧な投球を続けている左腕は1点許せばサヨナラ負けの場面でも堂々と相手打者に向かっていった。

先頭は代打杉谷。ムードメーカーの登場に日本ハムベンチは沸き上がったが、嘉弥真は冷静だ。「先頭打者を出さないことを意識して」。追い込んでからファウルで粘られても、きっちり二飛に打ち取った。続く野村は3球三振。最後は代打谷内を二飛に抑え、あっという間に3者凡退。「いつも通り投げることができたと思います。0点で抑えることができて良かったです」。今季リーグ初の引き分けで、工藤監督就任後ワーストの借金4を回避した。

嘉弥真は今季5試合目の登板で、ここまで打者13人と対戦し9奪三振。1人の走者も許していない。しかもこの日は両打ちの杉谷を含む対戦打者3人ともが右打席だった。工藤監督は「嘉弥真君が好調なんですけど、右とか左とか関係なしにいってもらいました。それ通りのナイスピッチングをしてくれた。1イニング任せてもいいんじゃないかなと思うくらいの投球を見せてくれた」と高評価。左殺しのワンポイントとして名を挙げたが、すでに左右関係ないリリーフエースへの階段を上っている。

西武戦では救援陣が打たれ3試合連続逆転負けを味わった。鬱憤(うっぷん)を晴らすように同点の7回から高橋礼、モイネロ、森、嘉弥真が無失点でつなぎ踏ん張った。指揮官は「6月は終わりました。終わったことは反省して、きょう兆しが見えたところもあります。いい形をピッチャーの人たちが見せてくれたので、そこの中でどう応用できるか考えながら7月は戦っていきたい」と前を向いた。投手陣が巻き返しの足がかりを作った。【山本大地】

▽ソフトバンク森(9回を3者連続三振に仕留め)「3、4、5番打者だったので丁寧に自分の投球をすることを心掛けた。いい投球ができたと思う」