キャプテンがビッグウエーブに乗った。楽天茂木栄五郎内野手(27)が、9戦ぶりの1発となる9号2ランを含む3打数3安打3打点と暴れた。好調なチームの陰で3試合スタメンを外れ、流れに乗り切れていなかった。それでも、自らのバットで存在感を示し、チームを今季最長の5連勝、リーグ最速の30勝へ導いた。石井GM兼監督から「ひまわり」に例えられた主将。まだまだ後輩に椅子を譲るつもりはない。

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最初の1本が、身も心も軽くさせた。4回無死一、二塁。茂木がバットを強烈にしならせた。広島高橋昂の外角直球を中堅フェンス手前まで飛ばした。「バントのサインは出なかったので、ランナーをかえすことに集中しました」。先制の適時二塁打を決めると、5回には投手内野安打、そして7回1死一塁で右翼席へ9号2ラン。三塁打は出ずサイクル安打は“未遂”となったが、今季3度目の猛打賞と躍動した。

パ・リーグをのみ込まんばかりの波に乗ろうと、必死だった。チームはこれで今季最長の5連勝と好調。ただ、茂木はここ3戦スタメンから外れ、プロ1号を放った高卒2年目の黒川の躍動などをベンチから見つめた。「チームが調子いい中で自分はなかなか乗り切れていなかった。いいきっかけになる試合にできたら」と、結果が何よりの良薬になった。

石井GM兼監督は主将2年目の活躍に舌を巻く。勝利と育成の二兎(にと)を追う中で、27歳の茂木と20歳の黒川を例に挙げた。「ひまわりも適切な時期に種をまかないと花が咲かない。黒川もいい時期、タイミングで育てていかないと。サードであれば、茂木という咲いている花をどかしてどこかに置いていたら、チーム的にも腐ってしまう。両立して育てないといけないので難しい問題」。実績のある選手の活躍を担保に、戦力の底上げを促す。だからこそ期待通りの結果に「茂木の牙城を後輩はなかなか崩せないですよね」と信頼を置いた。

チームの勢いはとどまるところを知らない。今季2度目の同一カード3連勝で一時は最下位に沈んだ交流戦順位は、3位まで上昇。球団初の交流戦優勝まで射程圏に入ってきた。ビジター6連戦を終え、8日から中日、11日から阪神とそれぞれ本拠地での3連戦に臨む。胸にキャプテンマークを刻む茂木が、好調の波を一段と高くさせる。【桑原幹久】