西武仲三河優太外野手(20)は「最高、というか一番、人生の中で良かったなというか」と、1軍での初本塁打に酔いしれた。

「なかみがわ」と読む仲三河だが、記念すべきファーストスイングへ濁りは一切なかった。

「最初からもう、どんな打球であろうと自分のスイングをすると決めてたんで。たまたま1球目と同じスライダーが来てくれたので、軌道に乗せる感じで思い切り」

朝に列島をわかせた侍ジャパン村上宗隆内野手(23)を思わせるフォームから、三冠王のように豪快に振り抜く。振り抜くどころか、限界点まで振り切ると、高い弾道が右翼席に吸い込まれていった。

1軍経験を-。松井稼頭央監督(47)らの思いでこの日、招集された。チームが8回2死まで1安打に封じられての、代打での1打席のチャンス。しかし、先に代打に出た中村剛也内野手(39)の今季1本目のアーチが左翼へ飛んだ。

「今年のキャンプ一緒に、初めてやらせていただいて、そこから背中で見せてくれて。打撃練習でもすごいホームランを打っていて、いつかこんなホームランを打ちたいなと思っていて。今日、ネクストで見れたので貴重な経験になりました。きれいなホームランで、飛距離もあんな飛ぶんだって。一番近くで見れたんで良かったですね」

「ナカミー!」と喜んでくれたベテランは、母校大阪桐蔭の19歳先輩でもある。「プロにもなりたかったですし、日本一になりたかったので、1番近道っていうか、そこしかないと思いました」。栃木時代に進路が注目されたスーパー中学生は、関東の強豪ではなく、大阪桐蔭を選んだ。20年ドラフト7位で入団。スター選手ぞろいの“系譜”に乗ろうと、たゆまぬ努力を続けてきた。

記念すべき1発を「気持ちがだいぶ楽になって、自分も続こうと思って」と後押ししてくれた大先輩。そんな大きな背中に自身1発目について問いかけると「今日は僕のことなんかいいんで」と、実にうれしそうだった。【金子真仁】