不振にあえぐ大関霧島(27=陸奥)を陰ながら応援するオリンピアンがいる。柔道男子100キロ級で2016年リオデジャネイロ五輪銅メダリストの羽賀龍之介(32)だ。「羽賀さん」「霧ちゃん」と呼び合う仲で、多忙な合間を縫って食事を共にするなど交流を深めてきた。「陸奥親方(元大関霧島)も一緒にいる時に、霧ちゃんと呼んだら周りの弟子たちが慌てて(笑い)」と懐かしそうに笑った。

出会いは10年以上前。12年ロンドン五輪の出場権を逃したことを機に、モンゴルへの単身武者修行に向かった。地元の柔道クラブへ訪れると、若き霧島がいた。打ち込み練習の相手として一緒に汗を流し、大草原ではモンゴル相撲も行った。数年後、日本で同じ電車に乗り合わせたり、居酒屋で遭遇したり。偶然の再会に深い縁を感じるように。今では「彼の番付がどこにいようが、いつも結果を気にしている」。厳しい勝負の世界で戦う現役トップアスリート同士として、その活躍に刺激を受けている。

11日目に負け越しが決まっても、休場しなかった理由を「大阪に来るのは年に1度。楽しみにしている人のためにも逃げたくなかった」と、12日目の取組後に語った。そんな熱い心が他競技の一流選手にも、届いたのだろう。【平山連】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)

羽賀龍之介(2017年7月撮影)
羽賀龍之介(2017年7月撮影)
霧島(右)は翠富士に敗れ負け越しが決まる(撮影・小沢裕)
霧島(右)は翠富士に敗れ負け越しが決まる(撮影・小沢裕)
霧島(右)を寄り切りで破る翠富士(撮影・和賀正仁)
霧島(右)を寄り切りで破る翠富士(撮影・和賀正仁)