ボクシングのロンドン五輪金メダリストでWBA世界ミドル級2位村田諒太(31=帝拳)の世界初挑戦が決まった。3日に都内で会見が行われ、5月20日に東京・有明コロシアムで、WBA1位(暫定王者)アッサン・エンダム(33=フランス)とWBA正規王座決定戦を行う。

 13年4月12日のプロ転向宣言から約4年…村田が待ちに待った世界戦が、ついに決まった。同8月25日に東洋太平洋ミドル級王者兼日本スーパーウエルター級王者の柴田明雄を2回TKOで破り、鮮烈なプロデビューを飾った有明コロシアムでエンダムを迎え撃つ。

 試合が正式に決まったのは、会見前日の2日だという。村田は「ミドル級の世界戦が、日本で出来ることに感謝します」とあいさつした。日本で金メダリストがプロで世界タイトルマッチに挑むのは、64年東京五輪バンタム級金メダリストの桜井孝雄氏が、1968年(昭43)にライオネル・ローズの世界バンタム級王座に挑戦し、判定負けして以来、半世紀ぶり。村田は「金メダリストとして受けた恩恵を返したい」と意気込んだ。

 エンダムは35勝(21KO)2敗。カメルーン代表としてアテネ五輪に出場後の04年にフランス国籍を取得し、プロ転向。10年にWBA世界ミドル級暫定王者、12年5月にWBO同級暫定王者を獲得し、同年8月には正規王者に昇格した。プロ解禁の16年リオ五輪では、カメルーン代表として出場し、1回戦で敗退した。オーソドックスタイプで、アマチュアで磨いた技術と、フットワークを駆使したスピーディーなボクシングが信条だ。

 一方で、12年10月のWBOミドル級王座戦では、クイリンから6度のダウンを奪われ、15年6月のIBF世界ミドル級王座決定戦でも、レミューから4度のダウンを奪われ、いずれも判定負けと、耐久力には疑問符が付く。村田は「1度の試合で4回、6回倒れても立ち上がり、その他のラウンドは支配した選手。タフファイトになると思う。ボクシングは、オープニングとエンディングが、いつ起こるか分からない緊張感を味わえるのが醍醐味(だいごみ)。自分のいいところは前に出て、強いパンチを打ち殴りかかること。それが通用するかしないか」と展望を語った。

 またWBC世界フライ級タイトルマッチ、ファン・エルナンデス(メキシコ)対比嘉大吾(21=白井・具志堅)、WBC世界ライトフライ級タイトルマッチ、ガニガン・ロペス(メキシコ)対拳四朗(25=B.M.B)も決定。当日はトリプルタイトルマッチとなる。【村上幸将】