前WBA世界スーパーフェザー級スーパー王者内山高志(37=ワタナベ)が、29日に中継局だった都内のテレビ東京で会見。気持ち、ケガに衰えもあり、100%を出し切れないとの理由で引退を表明した。

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 衝撃的なエックス線写真だった。「KOダイナマイト」の代名詞、破壊力ある右拳の骨が完全にずれていた。11年1月の3度目の防衛戦の挑戦者は、のちに世界王者となる三浦隆司。激闘の末に勝った代償が写真にある右手根骨と中手骨の脱臼だった。内山の携帯電話に保存してあったこの写真を見せてもらった時、大きなショックを受けたことを今でも覚えている。

 この脱臼から試合復帰まで11カ月を要し、翌年から内山の年間試合数は1~2回程度に減少した。それは右拳の負傷が影響していたことは言うまでもない。年間2回以上の防衛戦が可能だったら、日本記録となる世界王座の13回防衛に並ぶ、そして記録更新も可能だったのではないか。世界王座を奪取した時、内山の年齢は30歳。痛めた右拳と付き合いながら11回の防衛を成功させたのも、内山の強さだったと思う。【06年、11年、13年ボクシング担当=藤中栄二】