大相撲の第73代横綱となった照ノ富士(29=伊勢ケ浜)について、部屋の兄弟子も祝福した。21日午前、都内で臨時理事会が開かれ、照ノ富士の横綱昇進が全会一致で決定。東京・江東区の伊勢ケ浜部屋で行われた昇進伝達式で使者を迎えた。

照ノ富士は口上で「謹んでお受けいたします。不動心を心がけ、横綱の品格、力量の向上に努めます」と述べた。兄弟子で部屋付きの安治川親方(元関脇安美錦)は「言葉に表れていたんじゃないですか。不動心もそうだし、品格と技を磨いていくというね。本人はずっとそのつもりでやっていたから。稽古場でしっかりやっているから。手本となるようにね。今までやってきたことを引き続きやっていってほしい」とエールを送った。

両膝の負傷や内臓疾患に苦しんで大関から序二段まで番付を落とす期間も、復帰して最高位を射止める期間も間近で見てきた。「最後までしっかり相撲を取れたこと、腐らず頑張ってきたことを神様が見ていたのかな」と感慨深げ。横綱昇進後も、部屋付き親方として指導にあたっていく。「本人も気がつかないところを見て、一緒につくり上げていければ。本人が気がつかなくても、こっちから見て気がつくこともあるだろうから、しっかり見ていきたい。みんなで一緒にやっていこうな、とは思ってます」と意気込んだ。

自身の断髪式は来年5月に開催される。「(自分の)断髪式でも土俵入りをやってくれるだろうしね。『それまで(現役)やってくれな』とは言いましたけど」と笑った。

同じく部屋付きの楯山親方(元前頭誉富士)は「横綱らしい横綱になってもらいたい」と、口上で述べた品格、力量を兼ね備えた横綱になってほしいと期待した。横綱誕生で部屋も活気づく。「どんどん若い者たちを育ててもらいたい。これから横綱が関取衆に胸出したりすると、それも力になりますしね。自分より上の人がいると、それは強くなっていきますよね」と話した。

現役力士では幕内力士の宝富士(34)も「またこうやって大関を通り越して横綱になったことはすごいこと。刺激を通り越してますけどね。すごいの一言で。でもこれで部屋が盛り上がってくれればいいと思いますね」と喜んだ。

横綱誕生は17年初場所後の稀勢の里(現荒磯親方)以来4年半ぶりで、令和では初めて。モンゴル出身では5人目となる。

照ノ富士は関脇の春場所、大関復帰を果たした夏場所で2場所連続優勝を果たし、名古屋場所を綱とりで迎えた。千秋楽の全勝対決で横綱白鵬に敗れたものの、14勝1敗で優勝次点の好成績。19日に行われた横綱審議委員会の定例会では、全会一致での推薦が答申されていた。