関脇御嶽海(28=出羽海)が「押しの一手で賞」に輝いた。押し出しと押し倒しの決まり手で積み上げた白星は28個。今年の55勝のうち、半分以上を占めた。御嶽海は「小さい頃からずっとやってきた。自分にはこれしかない。うれしい」と素直に喜びを口にした。

小学時に相撲を始めた時から、押し相撲を磨いてきた。中学時はもろ差し狙い、高校時は前みつを取る相撲を取ったというが「びっくりするぐらいセンスがなかった」と、東洋大では原点の押し相撲を磨いた。それでも、四つ相撲で勝てる時もあったというが「プロは一流の集まり。さすがに通用しない」と押し相撲を貫いた。「おなかの下に力を入れて、相手のアゴ下付近をめがける」ことが、自身の押し相撲のポイントだという。

押し相撲にこだわる理由がもう1つある。それは「エコ」だという。「四つ相撲に比べると取組時間が短い。ケガをするリスクも少ない」。まわしを取る相撲を取っていた中高時代は、突き指などのケガが絶えなかったという。1場所15日間を年6場所。もちろん、四つ相撲よりも得意ということもあるが、1年間戦い抜くことを考えての押し相撲でもあった。

【佐々木隆史】(おわり)