3横綱の薫陶を受ける学生横綱がデビューした。幕下最下位格付け出しの草野(22=伊勢ケ浜)が初土俵を白星で飾った。朝心誠に勢いよく前に出ると、右を差して寄り倒した。
「所作とか緊張していたけど、相撲は落ち着いて取れた。前に出られてよかった」。184センチ、150キロの恵まれた体格を生かし、得意の右四つで圧倒した。
想定外の「3横綱」への弟子入りだった。熊本・文徳高から日大に進学し、昨年11月には全国学生選手権個人で優勝。「学生横綱」の看板をひっさげ、宮城野部屋へ入門する予定だった。しかし入門直前の3月、元幕内北青鵬の暴力問題で、当面は部屋が閉鎖。急きょ伊勢ケ浜部屋に所属することになった。
待ち受けていたのは師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)、転籍した宮城野親方(元横綱白鵬)、そして横綱照ノ富士。3人も「横綱」がいる部屋で、学生横綱がデビューする形となった。さらに春場所で110年ぶりとなる新入幕優勝を果たした尊富士、幕内熱海富士、翠富士ら、土俵を沸かせる新世代が集まる部屋で、胸を借りる日々。入門を決めた時とは異なる環境になったが「強くなれる部屋に入れた」と前向きにとらえている。
初日は、いきなり横綱の付け人として、支度部屋を駆け回った。「聞いたときはびっくりした。勉強しろよ、ということだと思った」。横綱の一挙手一投足を目の前で見られる特等席。初土俵での抜てきに、部屋の期待を感じた。
この日、横綱の休場が発表されたが、弟弟子が堂々の白星デビュー。「早く関取に上がりたい」。横綱経験者3人に見守られる「未来の横綱候補」がはじめの1歩を踏み出した。【飯岡大暉】

