第30回東京国際映画祭ラインアップ記者会見(六本木ヒルズなどで10月25日開幕)が26日、東京六本木アカデミーヒルズで行われ、現役セクシー女優紗倉まな(24)の小説を映画化した「最低。」(瀬々敬久監督、11月25日上映)の、コンペティション部門への出品が発表された。

 「最低。」は、夫との夫婦生活に不満を持ち、アダルトビデオ(AV)をきっかけに新たな世界へ踏み込む主婦、プライドを持って仕事に取り組む人気セクシー女優、元セクシー女優だった母を心の中で認められない女子高生など、AVに人生を左右される女性を描く。

 瀬々敬久監督(57)は、会見で「AVと言うと偏見を持って見られると思いますが、選んでいただき感謝します。現役AV女優の紗倉さんが友人、家族などの日常を緻密に描いた。今、日常と非常に近しいものとしてAVがある。AV女優も普通の生活をしていることを描きたかった。AVの位置付けを含め、日本がどう変わっていくかを、日常の断面でいいから感じてもらえたらうれしい」と語った。

 13年の映画「フィギュアなあなた」(石井隆監督)でヌードに挑戦した佐々木心音(27)は、人気セクシー女優役を演じた。「原作を読んでいたので、楽しんでやらせていただいた」と笑みを浮かべたが、撮影中には“事故”もあった。プールに落ちて女優が失神するシーンを撮影した際、演じた佐々木が本当に失神して、病院に担ぎ込まれたという。瀬々監督が会見の壇上でその事実を明かし、「映画が現実になり…準備万端でやりましたが。佐々木さん、すみませんでした」と謝罪する一幕もあった。

 主婦役を演じた森口彩乃(31)は「覚悟がいる作品だと思った。引き受けた時、うれしく思ったけれど、撮影直前に何で引き受けたんだろうと思った。原作に書いているとおり、1度(AV業界に)足を踏み入れたら…というのが、原作には書かれている」と作品への思いを語った。

 女子高生役を演じた山田愛奈(19)はnon-no(集英社)専属モデルで、映画への出演は初だった。「この映画が映像のお仕事を始めた、きっかけになった。映画の現場がどういうものかも分からずに(撮影現場に)入り、0からやらせてもらった。こういうふうに映画を撮るのか、が分かった」と撮影を振り返った。

 コンペティション部門には世界から1538本の応募があり、15本(うち世界初上映のワールドプレミアは8本)がノミネートされた。同部門の国際審査委員長は、米俳優トミー・リー・ジョーンズが務め、国際審査委員には俳優永瀬正敏ら4人が名を連ねた。同部門のトロフィーは、今回から東京の伝統工芸・江戸切子を使ったものとなった。【村上幸将】