年内でコンサート活動を終了すると発表している歌手加山雄三(85)が8日、飛鳥2の船内で、8日~10日に行うラストライブの出航前に、囲み取材に応じた。この日「NHK紅白歌合戦」への出場も発表。「始まりがあれば終わりもある」。今日9日、船上でラストライブを行い、大みそかにラストステージに立つ。

飛鳥2の船内に、制服姿の加山が姿を見せた。「どうもこんにちは。ようこそ、お集まりいただきましてありがとうございます」。

いよいよ、ラストライブを迎える。

「これで最後ってさみしいなっていう感じはあるけど、しょうがないよね。始まりがあれば終わりもあるし。頑張るつもりでいるので。最後かー。一生懸命やるよ。どこかで線引きをしておかないと困っちゃう。自分でケジメをつけることは好きだからね。なんとなく辞めるんじゃなくて、人の前で歌うのはこれで最後って、決めた方が清々するんじゃないかなって」。

2000年にスタートした、大人気クルーズライブだ。10年からはほぼ毎年実施されており、今回は6~8日と、8日~10日の2つに分けて行う。第一便で7日にコンサートを披露した。

「あんまり反応は普段と変わらなかったけど、普通のまんまの方が良いよね。だんだんと終わりに近づいてきているなって。始まりがあれば終わりがある。そう思ってけじめはつけなきゃね」

今回のクルーズがラストライブの予定だったが、この日「NHK紅白歌合戦」への出場も発表し、大みそかがラストになりそうだ。

「1カ月くらい前にNHKから連絡があって。『どうしたらいいんだろう。俺にそんな価値はない』と思ったんだけど、お引き受けしたら喜んでくださって。みんな喜んでくれたら最高だよ。最後の最後に最高だな、最高な時に生まれていて良かったなって思って。みなさんが喜んでハッピーな年の瀬になったらいいなって思っています」

85歳での出場は史上最高齢となる。

「85歳になって人前で歌を歌えるのは世界にどこでもいない。ギネスブックにのるの?っていうくらい。信じられないよね。自分が85になるまで人前で歌えて、そういうチャンスをいただけるなんて、なかなか縁の無いことだからありがたいです。このチャンスは天から与えられたモノだと思って、頑張りますよ」

コンサートは年内で最後になるが、音楽活動は辞めないという。60年前に作った未発表曲がまだまだあるという。

「人前で歌うステージは終わりだけど、そこから先、音楽活動は生涯の親友であるから、どんな扱いであろうとね。僕の作った曲を誰かが歌ったり、そういう音楽の活動は関わっていきたいなって思う。音楽は国籍年齢が関係ない。良いものはいいからね」

ここ数年の加山は大きなけがや病気が相次いだ。19年5月にトレーニング中に腰を圧迫骨折。それでもツアーは予定通り行ったが、同11月に脳梗塞を発症した。20年8月には誤嚥(ごえん)からの脳内出血を患った。リハビリをしてコンサートを開催できるまで復活したが今年6月、年内でコンサート活動から引退すると発表していた。【佐藤勝亮】