アビスパ福岡は開幕から2試合連続ドロー。昨季から続く連続試合引き分けは6試合連続となり、過去に延べ6チームが残した5試合連続のJ1最長記録を更新した。チームの得点力不足による記録かもしれないが、6試合の失点は1、0、2、0、1、0。失点しなければ負けないわけで、GK村上昌謙(29)を中心とした守備が安定していることを示す新記録とも言える。

守護神の村上は、今季もハイボールの処理など安定したプレーが光る。自身初のJ1となった昨季は37試合にフル出場し、完封はリーグ2位タイの15試合。枠内シュートに対するセーブ率は1位の75・2%をマークし、クラブ最高の8位躍進の原動力になった。今季も開幕から180分間で1失点。前節の神戸戦では最終ラインと連係し、強力攻撃陣を無得点に抑えた。

J1通算39試合、計3510分の出場で失点は35にとどめる。1試合90分換算の失点数である「GK防御率」は0・90点。出場時間が2700分以上のGKでは、2000~03年に磐田の黄金期を支えたヴァン・ズワムの0・89点に次いで歴代2位につける。Jリーグの公式記録にもなっている数値で、リーグ2連覇中の川崎Fのチョン・ソンリョンの0・91点をしのぐ。

今年30歳のGKは世代別代表を含め日本代表の経験はないが、J1では1試合平均失点0点台と安定感は国内屈指。守護神「村神」がゴールを守り続ける限り、福岡の守備が大崩れすることはなさそうだ。【石川秀和】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「データが語る」)

◆村上昌謙(むらかみ・まさあき)1992年(平4)8月7日生まれ、滋賀県出身。草津東高-大体大を経て2015年に当時J3の山口に加入。19年にJ2水戸へ期限付き移籍し、20年に当時J2の福岡に完全移籍した。J1通算39試合、J2通算46試合。185センチ、85キロ。

〈J1GK防御率5傑〉

0.89点 ヴァン・ズワム(磐田)6709分66失点

0.90点 村上昌謙(福岡)3510分35失点

0.91点 チョン・ソンリョン(川崎F)16947分171失点

1.00点 朴一圭(鳥栖)7807分87失点

1.01点 大迫敬介(広島)6390分72失点

※出場2700分以上。2月28日現在


〈J1連続試合引き分け〉

▽6試合

福 岡 21年~継続中

▽5試合

新 潟 09年

C大阪 11年

浦 和 11年

C大阪 13年

G大阪 19年

C大阪 21年