サッカーの22年ワールドカップ(W杯)カタール大会の組み合わせ抽選会が1日、ドーハで行われ、7大会連続7度目出場の日本はW杯優勝経験のある強豪スペイン、ドイツと同じ1次リーグE組に入った。

サッカー2022年W杯カタール大会1次リーグ組み合わせ
サッカー2022年W杯カタール大会1次リーグ組み合わせ

「死の組」と言う人に聞きたい。「今まで日本が死の組じゃない時があったか?」。7大会連続でW杯に出場しているけれど、事実上、日本は常に第3ポットか第4ポットに入った。つまり上位2チームが決勝トーナメントに進出するルールの中、実力的に上位2、3チームと突破を競うことになる。常に死の組なんだよ。それを逃れたいなら、FIFAランキングを上げて第2ポットに入るしかないね。韓国も、イランもサウジアラビアも、みんな死の組だろう。失望することはないよ。

W杯はいつも6月か7月に開催されていた。今回はカタールの暑さを避けるため、11~12月に開催される。これは欧州やほとんどの選手が欧州クラブでプレーしている南米の強国にとっては、大きなプラスになる。6月開催なら、欧州の各リーグが5月ころ終わって1度クールダウンして、また調子を上げないといけない。そのため、コンディション調整が難しかった。

でも、11月開催なら、欧州でプレーする選手にとってはシーズン真っ最中。最高の状態を維持したまま、W杯に乗り込める。時差も少ない。今回は、そういう意味でジャイアントキリング(大番狂わせ)のハプニングが起きにくい大会じゃないかな。各組とも、第1ポットと第2ポットの国がそのまま1次リーグを突破するだろうね。

その中で、日本が突破を狙うなら、ベトナムの戦術しかないだろうな。守り倒して、1回のチャンスを生かす。最後まで足を止めずに11人が守る。得点できなくても、焦らず0-0狙いでまた守る。幸い、森保ジャパンは組織的な守備はできる。勝ち点3狙いの相手を焦らすことはできるかもしれないね。変な色気を出さず、ベトナムを見習えばいいよ。その中で、チャンスが生まれるかもしれない。

ドイツは前回のロシア大会で1次リーグ敗退後、果敢な世代交代で若返った。若手とベテランのバランスもいい。どこからでも得点できるから、守りづらい。スペインとともに、両チームとも狙うのは優勝だ。「優勝を目指すチームは、ピークをトーナメントに持っていくから、1次リーグでチャンスあり」と言う人もいる。でも、優勝するチームは1次リーグで負けないよ。

しかも、今回は交代枠は最大3人から5人になる。どんどん交代カードを切るから、疲れも少ない。強豪国は選手層が厚いから90分間、相手にとっては脅威が続く。選手層の薄い日本の不利な条件を挙げればきりがないほど、悪条件が重なっている。

日本は今大会の目標を「8強以上」と掲げている。チームのモチベーションを考えたら、いまさら目標を下げることはできない。でも「トーナメントを突破して初戦がベルギーになるかも。ベルギーにリベンジするためどうすべきか」という話をする人はいないね。みんな口には出さないけれど、内心、下方修正しているだろうな。

ただ、あまり失望することはないよ。いつものことだからね。前回大会1次リーグ初戦のコロンビアみたいに、序盤に退場者が出ることもあるしね。「サッカーは、何が起こるか分からないからおもしろい」というじゃないか。死の組と考えず、みんなが心して準備して、本大会では思いっきり楽しめばいいんじゃないかな。(日刊スポーツ評論家)

森保監督(ロイター)
森保監督(ロイター)