広島の森保一監督(47)が、就任4年で3つ目のタイトルを手にした。本拠地の最終節で大勝し、3万3210人の超満員のスタンドに向かって叫んだ。「今、青山主将が(第2S制覇の)トロフィーを持っていますが、我々が欲しいのは(年間王者の)シャーレです!」。あくまでもチャンピオンシップ制覇にこだわった。

 困難を乗り越えてつかんだ優勝だ。決して資金豊富ではなく、毎年のように中心選手を他クラブに引き抜かれ、昨季も高萩(FCソウル)と石原(浦和)が退団。たたき上げの精神で、若手には週2回以上2部練習をさせた。まるで高校サッカーのように、人数が少ない午後も約1時間半紅白戦を課した。「(昨オフも)何人かの主力が移籍して、成長しながら結果を出そうが合言葉だった。でも言葉に出すのは簡単だが実際、結果を出すのは簡単ではなかった」。諦めそうになった時、現役時代を思い返した。

 広島の前身マツダに入団した87年から、2年半は試合に出られなかった。89年9月27日、大阪ガス戦でデビュー。2得点1アシストと活躍し人生が変わった。「監督という職業は選手1人、1人の人生の岐路を預かっている」。自身の経験から、成長は練習からしか生まれない。そんな信念があった。

 弱音を吐きたい時。愛犬ラウル(トイプードル)の散歩に出掛けた。スペインの英雄ラウル・ゴンザレスから取った名前だ。結果が出なかったときはそっとラウルに悩みを打ち明けた。「犬は黙って聞いてくれるからね」。次の目標は就任4年で3度目の年間王者。完全優勝しか眼中にはない。【小杉舞、益子浩一】

<広島記録メモ>

 ▼年間最多勝ち点 広島の今季の年間勝ち点は74。J1が現行と同じ18チームになった05年以降では、06年の浦和、07年の鹿島、10年の名古屋、11年の柏が記録した72を更新する年間最多記録。今季は浦和も勝ち点72を獲得。

 ▼アウェー全勝 広島は第2ステージ(S)のアウェー8戦全勝。単一ステージでアウェー全勝は、97年第1Sの鹿島(8勝)98年第2Sの鹿島(9勝)02年第2Sの磐田(8勝)に次いで史上4チーム目。過去の3チームもステージ優勝したが、延長戦勝ち、PK戦勝ちを含んでおり、90分試合でのアウェー全勝は今回の広島が初めて。

 ▼クラブ外国人選手最多得点 MFドウグラスが今季2度目のハットトリックを達成し、リーグ2位の21得点。広島の個人年間最多得点はFW佐藤が12年に記録した22点だが、外国人選手では94年のFWハシェックの19点を抜いて新記録。