アジア王者が開幕2戦未勝利スタートとなった。昨年のACLを制した浦和レッズが、サンフレッチェ広島に1-2と逆転負け。司令塔MF柏木陽介主将(30)が足のケガで欠場し、代役のMF青木拓矢(28)が15年11月以来となるリーグ戦ゴールで先制したが、後半にひっくり返された。開幕2戦未勝利は08年以来10年ぶり。オジェック監督(当時)の解任劇があったシーズンと重なる船出となった。

 2点目が遠かった。浦和はペトロビッチ前監督の戦術を復活させ、前半43分に先制したまではよかった。1トップに加えて両サイドと2列目の2人も最前線まで上がって攻め込み、サイドを崩すやり方。だが、カウンターのリスク回避でサイド攻撃に偏り、この戦術の武器である中央突破を図る縦パスが減った。中央に入ったMF長沢は「サイドを崩せていたことで、簡単に期待してパスを出しすぎていた部分もあった」と反省した。ゲームメーカーである柏木主将が、前日練習で足を痛めて不在だったことも響いた。

 堀監督は「いつもと違うやり方でミスも出ていた」と振り返った。選手の配置を換えた後半は21分、34分と続けて失点した。スローインからそのまま崩されて失点を許すなど、MF武藤は「隙をつかれた。簡単に侵入を許してもったいなかった」と悔しがった。

 終盤はFW李やMF武富を投入してチャンスを作ったが、ゴールにはつながらず。DF槙野は「同点にされたあと、はね返す力がなかった」と唇をかんだ。

 2試合で勝ち点はわずかに1。開幕2連敗を喫した08年は、連敗した翌日にオジェック監督が解任される非常事態に陥った。勝利が使命である浦和にとっては、わずか2試合の未勝利ですら凶兆になる。次節は初昇格のV・ファーレン長崎が相手。アウェーとはいえ、是が非でも勝ち点3を奪いにいく。【岡崎悠利】

 ◆08年の浦和 開幕2連敗を喫した翌日の3月16日、オジェック監督が解任され、エンゲルス・ヘッドコーチが監督に昇格。立て直しに成功し、一時は首位に立った。だが、10月18日の神戸戦で敗れ、選手とエンゲルス監督の不仲が表面化。チームは11月にブンデスリーガ2部のフライブルク元監督フィンケ氏に09年の監督就任を要請した。エンゲルス監督は最終節まで指揮を執ったが、12月6日にフィンケ氏の監督就任が発表された。