「第2回静岡県東部地域サッカースタジアム構想連絡会」が22日、沼津市内で行われた。冒頭には、第1会連絡会の出席者で、前日21日に急死した大沼明穂沼津市長(享年58)をしのび、全員で黙とうした。

 連絡会には、県や市、県サッカー協会の関係者ら約25人が出席した。J3アスルクラロ沼津のJ2ライセンス取得に向け、愛鷹多目的競技場の改修や、東部地域のにぎわいの拠点となる新スタジアムの建設について協議されたが、厳しい現実が浮き彫りになった。

 まず、来季のライセンス申請期限は6月末で、仮に競技場改修となれば、来季開幕までにリーグの適合検査に合格しなければならない。取得条件には、1万席以上の観客席(現在は5000席)や大型映像装置の設置などがある。中でも、最も大きな障害となるのが、観客席を覆う屋根の設置だ。金銭面や工期の観点から困難とみられ、沼津の渡辺隆司社長(59)は「ライセンス取得が厳しいことは分かっています。今後は(改修や新スタジアム建設の)目標となる日程を確実に設定したいです」とし、ライセンス申請の有無については明言を避けた。

 沼津は、J3参入初年度となった昨季は3位。今季も開幕2連勝(第3節相模原戦は降雪で中止)と好調な滑り出しだ。そして、沼津市側もこの日、スタジアム問題解決に前向きだった大沼市長の遺志を受け継ぐ姿勢を示した。産業振興部長の光林治氏(60)は「沼津の後押しを続けていきます」と言った。

 だが、同競技場は県営で、改修の決定権は県にある。出席者のバルセロナ五輪陸上日本代表の杉本龍勇会長(47=沼津市出身、法大教授)が「投資という視点で、5年、10年後に利益を回収できないといけません」と話すなど、さまざまな課題も示された。