東京ヴェルディのDF井林章(27)は、ともにDFラインの主軸を担ったDF畠中槙之輔(22)が、14日にJ1横浜F・マリノスに移籍後、初の試合となった大分トリニータ戦を、しっかり完封で締めた。

 試合後、畠中が移籍した影響について聞かれると「守備として、やることは変わらないので1人1人、やるべき仕事はハッキリしている。1人抜けたから戦力が落ちちゃうというのは、うちのチームでは、あってはいけないことなので」とキッパリと言い切った。

 この日は、ウイングバックを含め5バック気味に守り、J2の22チームの中で唯一、得点を50点に乗せる大分攻撃陣を封じた。組織的な守備は大きく崩れることはなく、大分にシュートを11本打たれながら、乱れも少なかった。「相手がボールを回すのがうまいので、どちらかというと守備に回る時間の方が多いと思っていましたが、その時に自分たちが崩さずにブロックを作り続けられるか。今日は、それがほぼ90分間、出来ていた」と振り返った。

 その上で「うちは個で解決するDFではなくて、組織があってのDFなので、忠実に動くことが、良い守備につながるので」と、ミゲル・アンヘル・ロティーナ監督(61)が構築した組織的な守備に、絶対の自信を見せた。一方で「それが崩れた時に、初めて個の守備で解決するところがあるから、そこは、やはりハタに今まで助けてもらっているところが何回かある」とも語った。

 この日は畠中に代わり、今季リーグ戦12試合に出場し、DFながら2ゴールを決めている平智広(28)が先発し、安定した連携を見せた。井林は「試合にずっと出ていない人が出ると、試合勘だったり連携(面の問題)とかって、あると思う。今日に限っては、平は去年もずっとやっていたし、今年も出ているので」と問題がなかったことを強調した。

 井林の言葉どおり、ロティーナ監督が築き上げた組織的な堅守は、畠中抜きでも大分の超強力攻撃陣を封じた。一方で、2月25日のジェフユナイテッド千葉との開幕戦で、後半45分に決勝弾を決めるなど、勝負所となるセットプレーでの攻撃でも畠中の存在は大きかった。「残り、少なくなってきているので、チーム力が大事になると思います」と手綱を引き締めた井林…その言葉の真価が試されるのは、これからだ。【村上幸将】