アルビレックス新潟はアビスパ福岡に0-1で負け、今季ホーム初勝利を逃がした。今季はホーム2連敗の未勝利。前節横浜FC戦勝利に次ぐ、連勝もならなかった。0-0で迎えた後半39分に与えた右CKを、FWヤン・ドンヒョン(32)に頭で合わせられた。今季勝ち星のなかった福岡に、ホームで勝ち点3を献上した。

厳しい顔を崩さずに、新潟の選手たちはゴール裏のサポーターに向かって大きく腰を折った。サポーターも選手と同様に厳しい顔を作って大声を張り上げる。今季未勝利の相手にホームで歓喜の瞬間を与えてしまった。最下位だった福岡に勝ち点3を許した。MF戸嶋祥郎(23)が表情を押し殺して言う。「何をやっているんだ、という声が聞こえた。当然だと思う。この声を『よくやった』という声に変えられるようにやっていきたい」。

新潟は分厚い攻撃を仕掛け続けた。シュート数は相手を1本上回る13本。好機を、何度も作った。後半17分にはFW田中達也(36)が左足でボールを押し込み、ゴールネットを揺らす。両腕を広げて喜びを表したが、惜しくもオフサイドの判定。「決めるところで決めないと、こういうゲームになる」と直後の後半19分にピッチを退いたFW田中は話した。

福岡戦は、昨季の新潟に対する評価を覆すための戦いだった。「勝てないチームに勝ち点を与えてしまう新潟」。「ホームでなかなか勝てない新潟」。「連勝できない新潟」。手痛い敗戦は、そんな昨季の評価を裏づけてしまった。今季未勝利チームに勝ち点を与え、今季ホーム初勝利を逃し、連勝もできなかった。「難しいゲーム」と戦前に話していた片渕監督の想定も現実のものになった。

もっとも新潟は、前線から激しくディフェンスにいくアグレッシブなスタイルを捨てない。福岡戦も、プラン通りにゲームを進めていた。片渕浩一郎監督(43)は「ゲームはある程度、狙い通り。しっかりオーガナイズしてチャンスを作った」と言う。キャプテンマークをつけたMF加藤大(27)は言う。「迷ったりせず、やってきたことを継続したい。やってきたことが正しい、と示せるのは勝つこと」。次節アウェー徳島ヴォルティス戦は30日に訪れる。【涌井幹雄】