酪農学園大とわの森三愛が、帯広北を0-0からのPK戦(3-2)の末に下し、初の4強入りを果たした。PK戦でGK加藤聖士(3年)が5本のうち3本のシュートを止めて勝利に貢献。2回戦で3連覇王者の旭川実を破ったのに続き、強豪校を撃破した。東海大札幌は函館に勝利して3年ぶりに4強入り。準決勝は19日、決勝は20日にいずれも札幌厚別公園競技場で行われる。

読んだ。読み切った。スコアレスで突入したPK戦。3-2で迎えた5人目だった。酪農学園大とわの森三愛のGK加藤は左に飛び、シュートを両手ではじいた。「相手が左利きで助走角度は30度くらい。左だと思った」。仲間に駆け寄り抱き合った。2年ぶり3度目の出場で初の4強入り。「みんなに支えられてここまでくることができた」と感謝した。

 PKにはめっぽう強い。5本のうち3本をストップ。コツは我慢に我慢を重ねて、相手が蹴るまで動かないこと。ボールが動いてからは「予測に加えて野性的な感覚で飛ぶ」。2年前の地区大会でも、反則で与えたPKを含めて4本を止めている。建部大自監督(44)は「(元日本代表の)川口能活さんみたいな神がかったプレーもするんです」とたたえた。

 先輩の助言で成長した。今春、全国常連校の仙台育英で指導歴がある、OBの中越悠樹さん(29)がGKコーチに就任。1対1で飛び出すことが多かったが何度も指摘を受けた。加藤は「自分に足りないものを補えた」。13日2回戦は4連覇を狙う旭川実の猛攻を1点で抑え、この日も11本のシュートを浴びたが耐えて完封した。

 負けられない理由があった。旭川実戦でMF黍根(きびね)侑真主将(3年)が頭部を負傷して緊急入院した。「本人が一番つらいと思う。侑真を札幌厚別に連れて行って喜ぶ顔を見たい」。団結力が持ち味のチームが、さらにまとまった。

 札幌厚別行きの切符をつかんだが、誰も満足はしていない。「狙うのは優勝なので」。総体含めて初の全国まであと2勝。赤い守護神がゴールを割らせない。【西塚祐司】