【広州(中国)23日=木下淳】浦和レッズDF鈴木大輔(29)が、2試合連続完封の立役者になった。直近18日のJ1リーグ大分トリニータ戦(0-1)はベンチ外だったが、ACLの大一番で3バックの中央に復帰。左の槙野、右の岩波とコミュニケーションを取りながら広州恒大の壁になった。

前半32分には、ハーフウエーライン辺りでパスを受けようとしたFWエウケソンに対し、猛然と距離を詰める。激しいスライディング、倒れる相手。ここは背後からで警告を受けたが、熱いプレーでチームを鼓舞した。44分にはFWタリスカと両者転倒する接触があるなど、体を張った。GK西川の再三の好セーブが目立ったが、鈴木大がコースを限定していたことが大きかった。「前半はチャンスをつくられて危ない場面もあったけど、そこをゼロに抑えられたことが今日の鍵になった」と思惑通りに試合が運んだ。

ホームでの第1戦は2-0で先勝。第2戦も前半0-0で相手の焦りは顕著になっていく。後半5分にFW興梠が先制した後もミッションは変わらず。「しっかりブロックをつくって、後半は単調になってきた空いての攻撃をしっかり抑えられた」と納得した。

スペースが生まれた後半はカウンターの起点になるパスも出し、試合をコントロール。「時間がたてばたつほど有利になる」と冷静で、終わってみればフル出場で完封に貢献。第1戦でも出色の出来だった男が、今の浦和に欠かせない人材であることを証明した。柏レイソルから加入した今季序盤から中盤にかけては出番に恵まれなかったが、肝心の終盤に定位置を確保して存在感を際立たせた。

さあ、アジア覇者に王手だ。11月の決勝はアルヒラル(サウジアラビア)との対戦になった。その前に、少し喜びをかみしめても許されるだろう。「個人的にはリベンジしたい」と話していた広州恒大を、ついに倒した。柏時代の13年と15年に対戦し、ともに敗退。特に13年は今回と同じ準決勝で当たったが、2戦合計1-8で大敗した。「強烈でしたね」。当時の苦い記憶を、日本勢で初めて決勝トーナメントで広州恒大を破った一員となって振り払い「準決勝の舞台で広州に勝って、東地区の王者になれた。決勝に行けて非常にうれしいし、勢いを持って進みたい」とアジアの頂を見据えた。