四日市中央工(三重)が3-1で日大明誠(山梨)を下し、6大会ぶりに初戦勝利を挙げた。
全国制覇1回、準優勝3回の四日市中央工が、名門復活ののろしを上げた。日大明誠を下し、三重県勢では6大会ぶりの初戦突破。終了直後の勝利監督インタビューで、伊室陽介監督(46)が目頭を押さえた。その後、報道陣から涙の理由を聞かれると「グッと…」と再び言葉を詰まらせた。
伝統校を率いる重圧もあった。小倉隆史、中西永輔、中田一三の「四中工三羽がらす」と同期で、91年度に帝京と両校優勝を飾った。だが、昨年まで県勢は5大会連続で初戦敗退。そんな中、4月に樋口士郎前監督から母校の3代目指揮官のタクトを譲り受けた。「生徒と共に成長する」がモットー。ミスで下を向くことがあった選手の意識を変えるべく、朝練で読書時間を導入。毎週金曜日の午前7時半から30分間、コーチらと順番で選んだ文章を手渡し感想文も求めた。興味深いと思えば落語家や雀士ら、スポーツ選手以外の思考にも触れさせた。
生徒と一緒に積み重ねてきた成果が、抜群の集中力を生んだ。先制点は前半5分で、試合を決めた3点目は後半7分。不安定になりがちな初戦の前後半の立ち上がりでゴールを奪った。2得点のMF森主将は「集中して読むことで集中力が高まった」とうなずいた。
部員100人超の大所帯で、今夏に3年生約30人が引退。「四中工は3年生全員を残せない。彼らの思いを受けているので情けない試合はできない。勝って頑張ったぞ、城先生(初代監督)と士郎さんに頑張ってますよ(と伝えたかった)。そこですよね」と湿っていた目尻を下げて感謝した。次戦は2日、松本国際戦。代々紡いできた伝統を下地に、新たなページを開いていく。【浜本卓也】



