J2のV・ファーレン長崎を率いて2年目の手倉森誠監督(52)が、現在3位につけ有言実行のJ1昇格を目指している。

前半21試合を勝ち点40の3位で折り返した。続いては「後半21試合で勝ち点45」を目標にしており「(選手には)可能性があることを信じて、入っていくぞという話をした」と、気合十分で挑んでいる。

これまで、16年リオデジャネイロ五輪代表監督、18年W杯ロシア大会日本代表コーチを歴任。09年に仙台でJ2を制してJ1昇格を経験し、J1で11年4位、12年2位などの実績を持つ。それらの経験も踏まえ、後半戦へは「選手それぞれが武器を信頼することが大事。間違いなく信じ合う力が必要になってくる」と言い、戦国J2を制す覚悟だ。

ただ「最近勝ててない」と言いつつも「(好調な)相手を止めると、その勢いを吸収できる」とも語り、後半戦初戦を重要視していた。その初戦、9月27日福岡戦は1-3で敗れた。しかも現在、7試合連続未勝利になっている。

それでも、9月30日にホーム試合で対戦する首位徳島を撃破し、勢いを取り戻すつもりでいる。前半戦を終え「徳島は一番完敗(1-3)した相手」と振り返った難敵。だが「先に点を取られたらやっかい。先制点がより大事になる」と警戒しつつ「負けたゲームの逆を取りに行く」と、リベンジに燃えている。

長崎の監督に就任時、「日本を代表するクラブをつくりあげたいという思いを感じて、代表で活動していた私としては、やるしかない、俺の出番だなと思った。J2から、すかさずJ1に上がらなければいけないし、その自信はある。ものすごい強さでJ2を制したい」と、早期のJ1復帰を誓った。

さらに、今季はJ2復帰1年目のギラヴァンツ北九州が、過去に大分トリニータや清水エスパルスなど4クラブをJ1昇格に導いた小林伸二監督(60)に率いられ、現在2位と優勝争いに加わっている。長崎は1度目の北九州戦で勝利しているものの、手倉森監督は「うかうかしていられない。J1ではもっと厳しい戦いになるし、リーグ戦の優勝争いは歓迎です」と言い、九州のライバルの存在もモチベーションだ。

しかも、4位以内に4位アビスパ福岡を含む九州勢が3チームの大混戦。身近な存在に触発されているはずだ。そこで迎える徳島戦は、今後を占う大一番。名将の手腕に期待したい。【菊川光一】

◆菊川光一(きくかわ・こういち)1968年(昭43)4月14日、福岡市博多区生まれ。福岡大大濠-西南大卒。93年入社。写真部などを経て現在報道部で主にJリーグや高校野球などを担当、プロ野球のカメラマンも兼務する「二刀流記者」。スポーツ歴は野球、陸上・中長距離。