鈴鹿のFWカズ(三浦知良、55)が「聖地」国立に帰ってきた。Jリーグ開幕戦や日本代表戦など国立競技場で数々の伝説を残してきたカズが、後半途中に交替で出場。横浜FC時代の11年10月札幌戦以来11年ぶり、東京オリンピック(五輪)に向けて新しくなってからは初めて国立競技場でプレーした。
ゴールこそならなかったが、献身的なプレーで1-0の勝利に貢献した。試合後のインタビューで、カズはさわやかにサポーターに声を届けた。
「無事に(国立に)帰ってきました(笑い)。お待たせしました。お待たせしすぎたかもしれません(笑い)みなさんのおかげで、最高の雰囲気で試合ができました」
「両チームともハードワークして、いい試合ができた。これも、みなさんのおかげです。JFLには今年から参加していますが、みな上を目指してやっているJリーグ以上にハングリーなリーグです。これ(国立での試合)で贅沢にならないように、これからも努力して、コツコツやっていきたい」
“カズ効果”で、JFLの最多観客数記録が大幅に更新された。この日の観客数は1万6218人。08年11月に栃木SCがFC刈谷戦で記録した1万3821人を大幅に更新した。
カズにとって、国立は特別な場だ。Jリーグ発足前の90年にブラジルから帰国すると、読売クラブ(現東京V)のエースとして数々のタイトルを獲得。日本代表での国立デビュー戦となった91年キリン杯トットナム・ホットスパー(イングランド)戦では2得点で優勝の立役者となった。
J1で国立最多の20得点(32試合)を決め、日本代表でも国際Aマッチ歴代最多の29得点(22試合)を決めた。日本リーグ、J2、天皇杯、リーグ杯、Aマッチ以外の代表戦などでも活躍してきた。国立の代名詞的な存在だったからこそ、19年に行われた新しい国立の開場イベントでも、誰よりも早くピッチに立った。
5月に国立開催が決まった時には「また国立で試合ができるとは思っていなかった。いい準備をして臨みたい」と楽しみにしていたが、右太もも痛での離脱が長引き、9月に復帰したばかり。復帰後も5試合連続交替出場で、先発への不安はかかえたままだった。
三浦泰年監督は「特別な場所だけに経験が必要になる」と先発起用も示唆していたが、本人への負担も考慮してベンチスタート。それでも、多くのファンは国立のカズを待っていた。この日一番の歓声に背中を押されて「国立男」は聖地のピッチを駆けた。



