14日(日本時間15日)のオランダ戦でW杯北中米大会の初陣を迎える日本代表が、選手のコンディション向上のための極秘プロジェクトを行っていたことが明らかになった。

今大会で森保ジャパンが目指すのは「最高の景色」。そこに近づくために急きょ導入されたのは低酸素システム。メイド・イン・ジャパンのハイテク機器が、選手をあと1歩前に進むことを可能にする。

W杯に臨む日本代表が国内合宿を開始した5月25日の5日前、代表の練習拠点であるJFA夢フィールド(千葉市内)に、緊急工事で“秘密兵器”が導入されていた。ジム内に突如としてブースが設営され、そこに持ち込まれたのは、ダイキン工業の「OXORA(オクソラ)」。Jクラブや大学で例があるものの、導入実績はまだ少ない低酸素環境を作り出す設備だ。酸素濃縮装置の技術を持つ同社が開発した、酸素濃度調整システムで、特設ブース内を低酸素環境にして、その中でバイクやランニングマシンを使ってトレーニングを行う。主に心肺機能強化、筋力・スプリントパワー強化、リハビリ、コンディショニングの4点に有効とされ、選手のパフォーマンスとコンディションづくりを加速させることが可能になる。リハビリ段階の選手が、患部への負担を軽くしながら心肺機能を強化したり、選手ごとにトレーニング強度を調整しながらコンディションを維持・管理したりすることができ、短期間でも効果が期待できる優れものだ。

低酸素トレーニングは、多くの論文が発表されている通り学術的にも効果が認められており、血管拡張による血流増加に伴う乳酸の除去促進、炎症物質除去促進、リラックス効果や睡眠の質向上といったメリットも得られるため、森保監督や松本フィジカルコーチもゴーサイン。今回は大学で低酸素の研究をしている研究者やトレーニング理論の第一人者もプロジェクトに加わり、練習後または練習の合間に酸素濃度15・5パーセントの標高2500メートル想定、酸素濃度14・5パーセントの標高3000メートル想定で、バイクやランニングマシンを使うメニューが提供された。代理店価格で「OXORA」が1080万円、ブース設置含めて総額1400万円(推定)にもおよぶ高額システムだが、日本の躍進を願う同社の無償貸与により緊急導入が実現。疲労を抱えて帰国した選手のリカバリーや、リハビリ中でパフォーマンスアップが必要な選手など、それぞれの状態に合わせてメニューを調整し、科学的なアプローチでコンディション調整を進められた。

「1パーセントでも勝つ確率を上げるために」を合言葉に、さまざまな取り組みをしてきた森保ジャパンが、日本で生まれた最新鋭システムの力も借りて、世界の強豪に走り勝つ。【永田淳】