トラック勝負の大激戦を制し、井上大仁(25=MHPS)は2時間18分22秒で男子では8大会ぶりとなる金メダルを獲得した。

トラックに入り、フィニッシュ前の最後の直線。一騎打ちを繰り広げていたエルアバシ(バーレーン)に内から強引に割り込まれて接触した。見てる側からすれば一瞬、ひやりとしたシーンだった。井上は「勝つことに必死だったので、何が起きたかは分からなかったが、ぶつかった一瞬は、転ぶんじゃないかと思った」と振り返った。転ばずに耐えた先、中山竹通以来、32年ぶりの栄冠が待っていた。

同タイムの着差勝ちと、まさに激闘。競技場に入る直前も、エルアバシに仕掛けられた。「残り200メートルの直線で出す力を、もう出さざるをえない感じ」と何とかついていった。トラックでは「最後はないところから引きずりだすしかなかった」。まさに死力を尽くした戦いだった。