ダイヤモンドリーグは残すところ3試合。第13戦チューリヒ(28日)と第14戦ブリュッセル(9月3日)の2大会で、全32種目を16種目ずつに分けて行い年間チャンピオンが決定する。すでにメンバーが決まっている種目もあるが、パリ大会終了時の今季ダイヤモンドリーグ・ポイントでファイナル出場メンバーが出そろう。

記録的な期待が高いのは“ポスト・ボルト”候補の1人、男子200メートルに出場するノア・ライルズ(22=米国)だ。7月に19秒50の世界歴代4位をマークした新鋭が、ウサイン・ボルト(ジャマイカ)が2009年に出した世界記録の19秒19にどこまで迫るのか。

日本からは男子走り高跳びに佐藤凌(25=東日印刷)が出場する。

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ライルズは5月の世界リレー選手権(横浜)で来日。“ポスト・ボルト”候補と言われることについて、「ちょっと速い選手が現れるとそう言われるんだよ」と笑い飛ばしていたが、世界記録更新には意欲を見せていた。

7月末の全米選手権でも19秒78で、100メートル優勝者のクリスチャン・コールマン(23=米国)に0.24秒差で快勝した。

この2シーズンで200メートル唯一の黒星が、今年6月のダイヤモンドリーグ・ローマ大会。400メートルで世界陸上代表入りしたマイケル・ノーマン(21=米国)に敗れた。前半で差をつけられたのが敗因だった。

その課題がパリ大会で克服できれば19秒台前半のタイムが期待できる。

男子3000メートル障害はコンシスラス・キプルト(24=ケニア)の復帰戦。キプルトは16年リオ五輪と17年世界陸上の金メダリストで、昨年もダイヤモンドリーグ・チャンピオンとこの種目で君臨してきた。

だが今年5月を最後に競技会から遠ざかっている。ダイヤモンドリーグ公式サイトによれば脚の骨折が原因だという。

8分04秒82の今季世界最高記録を持ち、ダイヤモンドリーグのシーズンポイントでも現在トップのスフィアン・エル・バッカリ(23=モロッコ)らを相手に、本来の勝負強さを発揮できるか。世界陸上では4大会連続メダルに挑戦する目玉選手だけに復帰戦の走りが注目される。

◆ダイヤモンドリーグはIAAF(国際陸上競技連盟)が主催する単日、または2日間開催では最高カテゴリーの競技会シリーズ。2010年に発足し、2016年までは年間総合ポイントで各種目のツアーチャンピオンを決定していた。2017年からシステムが変更され、ファイナル大会出場者を決めるクオリファイリング大会として12大会を実施し、16種目ずつを行うファイナル2大会の優勝者がダイヤモンドリーグ(年間)優勝者となるチャンピオンシップ形式になった。各クオリファイリング大会の種目別賞金は3万ドル(1位1万ドル~8位1000ドル)で、各種目は年間4~6大会で実施される。各大会のポイント(1位8点~8位1点)合計の上位選手がファイナル大会に進出(種目によって異なり7人または8人、または12人)。ファイナル大会の種目別賞金は10万ドル(1位5万ドル~8位2000ドル)で、年間優勝者には賞金5万ドルとダイヤモンド入りトロフィーが贈呈されるのに加え、今年9月開幕の世界陸上への出場権が与えられる。ほとんどの種目が予選なしの一発決勝で行われるため、緊張感あるレースがスピーディーに続く。また、オリンピックや世界陸上のように1種目3人という国毎の出場人数制限がないため、ジャマイカ、アメリカ勢がそろう短距離種目や、アフリカ勢が多数出場する中・長距離種目など、五輪&世界陸上よりレベルが高くなるケースもある。