大輪の花を咲かせた。桜花学園(愛知)が夏冬連覇を達成した。高校総体に続き決勝での対戦となった岐阜女を72-67で下し、3大会ぶり22度目の優勝を飾った。残り約3分で13点リード。そこから岐阜女の驚異的な粘りに苦しみ、残り36秒では2点差に迫られたが、最後は振り切った。29日に行われる男子決勝は、連覇を目指す福岡第一と福岡大大濠との福岡県勢対決となった。

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優勝を決めた後だった。桜花学園の選手たちはコートで円になった。互いに手をつなぎ合う。まるで大輪の花のように。みなで目を見合わせてから、輪の中心を目がけ、一斉に走りだす。1カ所に集まって喜びを爆発させた。

平下愛佳主将(3年)は「本当にうれしい。苦しいこともあったが優勝をできてよかった」と喜んだ。一進一退の攻防から流れをつかみ最終クオーターの残り3分で13点リード。だが、そこからが優勝への試練だった。夏の雪辱、連覇を目指す岐阜女の驚異的な追い上げに残り36秒で2点差に迫られる。タイムアウトの円陣。平下主将は「足が取れてもいいから全力で走りきろう」と仲間を鼓舞した。就任当初はキャプテンシーがないとされた主将の姿は、そこにない。頼もしかった。耐え切った先に栄冠が待っていた。

井上真一監督に厳しく育てられ、それでも選手たちは雑草のように強く、はい上がってきた。高校総体を制覇したが、甘さとは無縁。厳しい道のりを歩んできた。下級生に力があるチーム。だが、指揮官は最後の冬は最上級生が意地を示さないと勝てないと感じていた。秋の国体後。雷を落とした。「ウインターカップを勝つ気があるのか? できるチームの雰囲気ではない。3年生の考えが甘い」。そう言って、井上監督は練習場を去った。

平下は同じ3年生の岡本美優と井上監督の自宅に出向いた。「3年生がリーダーを取ってやります。練習を見てください。勝ちたいんです」。思いの丈、決意を述べた。練習から細部を追求。少しでも納得いかないプレーが出れば、練習を中断し、その場で修正した。ミーティングでは「けんかになるぐらい」意見をぶつけ合ったこともある。チームの結束は強まった。

勝つ集団であり続けた。井上監督は「バランスのいいチームになった。優勝していない、この2年間は10年くらいに長く感じた」。選手たちをねぎらい、そして成長に目を細めた。【上田悠太】