16年リオデジャネイロ・パラリンピック銅メダリストで世界ランキング2位の上地結衣(24=エイベックス)が、同21位の朱珍珍(29=中国)を6-3、6-4で破り、金メダルを獲得した。同競技の男女シングルス優勝者に与えられる東京パラリンピックの出場権も手にして、五輪も含めて個人資格では20年東京大会の日本代表第1号になった。

上地は頭脳的な戦略で主導権を握った。コートエンドが狭いことと、高温でボールが普段より高く弾むことを見極めて、高い弾道のボールをエンドラインぎりぎりに打ち続けた。もっとも内容には納得いかなかったようで「うれしいけど、全体的にプレーの精度が高くなかった」。勝利の瞬間も小さなガッツポーズで喜びも控えめだった。

昨年は4大大会で3冠を達成。今年は全仏で2連覇を成し遂げて、世界ランクは2位。それでも現状に満足せずにひたすら進化を自分に求めている。体の回転を生かしたスピンサーブの開発や、新たなウイニングショットとしてドライブボレーの強化にも取り組んでいる。金メダルを期待されて臨んだ16年リオデジャネイロ大会は、銅メダルに終わり涙を流した。その苦い経験も生きている。「東京大会の出場権を昨日までは意識していたけど、今日は集中できました」。

20年大会まで1年10カ月あるが「日本にも新しい選手が出てきている。ライバルの(世界ランク1位)デフロート(オランダ)にもパワーで押されているので、2年間でしっかり準備しないと」。上地は一息つくつもりはない。