男子200メートル(義足T64)で井谷俊介(24=SMBC日興証券)が23秒80のアジア新をマークして優勝した。

欠場したライバル佐藤圭太(27=トヨタ自動車)の記録を0・05秒更新し、100メートルと合わせて短距離2種目のアジア記録保持になった。

スタート直後から飛び出した。T62と混合の4人のレース。終始独走。誰とも競り合うことなくゴールしたが、スタジアムの大型ビジョンには新記録が表示されていた。「200はきついですね。20秒50から60を狙ったんですが、最後はバテました」。井谷は大きく息をはずませた。

パラ陸上界に突然現れた超新星の勢いが止まらない。一昨年11月から本格的に競技に取り組み始め、昨年デビュー。100メートルでいきなり第一人者の佐藤と互角以上に渡り合った。10月のジャカルタ・アジアパラでは11秒75のアジア新で佐藤を破って優勝。今年から200メートルを走り始めたが、あくまで重点は100メートルでトレーニングの一環として取り組んでいる。レースも2月の国際大会(ドバイ)以来2度目。それでも記録を出した。

5月の静岡国際で自らのアジア記録を更新する11秒55をマークした後、右大腿(だいたい)部を痛めたが回復。股関節周りの筋力と柔軟性を養うメニューを消化して、ストライドもスムーズになった。7日は100メートルに出場する。「天気が持ちますかね。できれば11秒30から40ぐらいで走りたいですが、どうかな」。井谷はおどけるように言ったが、連日のアジア新も可能性もありそうだ。

【小堀泰男】