世界ランキング6位の水谷隼(27=ビーコン・ラボ)が、準々決勝で同11位のフレイタス(ポルトガル)に4-2で勝利した。

 男子卓球界初の4強進出となり、メダル獲得に王手をかけた。11日の準決勝では、過去12戦未勝利で同1位の馬龍(中国)と対戦。「4強の達成感はない。自分はあくまで、メダルをとりに(リオに)きている。これでメダルがとれなかったら一生悔いが残る。あと1勝ということはすごく感じていますが、もし(準決勝で)負けても、もう1回チャンスがあるので、やれるでしょう」と自信の表情を見せた。

 第1ゲームを、いきなり6連続得点するなど、最高のスタートを切った。第2ゲームは一転、5連続失点で発進。9-11で落としたものの、粘りも見せた。以降も相手の強烈フォアドライブを、コースを読み切ったカウンターで得点を重ね、勢いはさらに増した。最後はサービスエースで試合を決めた。

 12年ロンドン五輪では、直前の大会で圧勝した選手に4回戦で敗れ、悔しい思いをした。マイナス要素を考えすぎ、不眠症に陥った。無理してでも寝るために、選手村宿舎で飲酒する日もあった。生活のリズムの崩れは、プレーにも影響した。だが、今大会は違う。「緊張はほとんどない。寝られています」と、精神面の成長が、結果に直結している。

 男子代表の倉嶋洋介監督も「大会前から彼がメダルを獲得できる可能性が高い選手だと思っていた。馬龍に対して、何が起こるか分からない。気持ちで弱きにならず、少しだけ勇気を持てれば大丈夫」と期待。男子卓球界初のメダル獲得に、あと1歩と迫った。【鎌田直秀】