96年ぶりのメダルは持ち越しとなった。世界7位の錦織圭(26=日清食品)が、ロンドン五輪金メダルで、同2位のアンディ・マリー(英国)に1-6、4-6で敗れ、現地時間14日に行われる3位決定戦に、20年アントワープ五輪の熊谷一弥(故人)以来のメダルをかけることになった。ナダル(スペイン)と対戦する。

 メダルに向けて、まだもう1試合ある。ツアーならベスト4で敗退だ。しかし、五輪は3位決定戦がある。そこに、錦織が96年ぶりに最後のチャンスにかける。マリーの錦織対策の前に、ストレートで敗れたが、大会前に「日本の人を元気にするためにメダルを狙いたい」と力を込めた気持ちを、最終日にすべてぶつける。

 マリーの高い第1サーブの確率に、得意のリターンが沈黙した。マリーの弱点の1つである第2サーブになれば、錦織はリターンで攻めることができる。しかし、第1セットは77%の確率で第1サーブを入れられ、「攻撃的に行きたい」と話していたが、まったくチャンスがなかった。第2セットも先にサービスゲームを落とし、力尽きた。

 前日12日の準々決勝で、驚異の逆転劇を見せた。モンフィス相手に、最終セットのタイブレークで3本連続のマッチポイントを握られた。しかし、自身も「信じられなかった」という粘りとフォアの強打で、5ポイント連続を奪い、ついに自身初の準決勝まで到達していた。

 3位決定戦で対戦するナダルとはこれまで1勝9敗。準々決勝で見せた逆転劇は、錦織の真骨頂。その再現が、メダルに向けて必ず最後に花開く。