東京都の東京パラリンピック聖火リレーが20日、スタートした。新型コロナウイルス感染拡大の影響で公道開催は中止となったが、初日は北区で点火セレモニーを実施。3人1組で聖火をつないだ。

靴のデザイナーとして活躍する相部祐里さん(44)は、健常者と障がい者や要介護者らの壁を取り除く願いも込めてトーチを掲げた。「ファッションと、介護現場や障がいを持った方は違う世界で壁を感じた。みんなで楽しく出来ることもバリアフリーかなと思って始めた。『この靴を履いたら次のリハビリも頑張れる』とか言ってくれる人がいることもうれしい。聖火リレーも私が出ることを、面白がってくれれば良いなと思いました」。現在はシューズブランド会社を起業し、足元から1人1人のニーズに寄り添っている。

きっかけは14年、オシャレ好きな祖母の老人ホーム入所後の姿だった。足元を見たら小学生の体育館シューズのような履物にがくぜん。「靴屋さんが、まだ目を向けていないジャンルなんだなと。女性が元気になるのは、かわいいっていうことも大事。祖母が好きなラベンダー色の靴を作って喜んでほしいという思いが一番だった」。準備や開発に2年を要し、15年に亡くなった祖母にプレゼントは出来なかった。だが、足がむくみがちな人のために甲の高さを変えられる靴、器具などを付けている足が少しでも小さく見える技術を施した靴など、オシャレと機能を兼ね備えた商品を増やし続けている。

この日も、自身がデザインしたシューズで走った。パラリンピックもバスケットボールやボッチャなどのチケットに当選したが、無観客開催で無念。「今後はパラアスリートと一緒に開発出来るシューズなどの挑戦も出来たらうれしい」。靴で心も体も絆を深めていくつもりだ。【鎌田直秀】