国際パラリンピック委員会(IPC)広報責任者のクレイグ・スペンス氏は29日、都内のメインプレスセンターで東京オリンピック(五輪)・パラリンピック組織委員会と定例会見を行い、アフガニスタン選手2人が28日夜に来日するまでの経緯を説明した。

テコンドー女子のザキア・クダダディと陸上男子のホサイン・ラスーリは、情勢が緊迫化しているアフガニスタンの首都カブールから脱出し、23日にフランス・パリに到着。その後、フランス・スポーツ庁の練習施設でトレーニングを続けた。2人にあらためて大会への参加意向を確認し、参加が決まった。2人は28日夜に羽田空港に到着し、東京・晴海の選手村に入った。選手村では、IPCアンドリュー・パーソンズ会長やアフガニスタン選手団の団長らに迎えられた。ミーティングでは、2人を含め誰もが感極まって泣いていたという。

クダダディは9月2日の試合に出場。ラスーリは予定していた28日の男子100メートルに出場できなかったため、9月3日の同400メートルに出場する。ラスーリは「本来100メートル選手だから、400メートルは大変だろうな」と話していたという。スペンス氏はラスーリ本人の希望で、31日の走り幅跳びにも出場する予定だと明かした。

また、スペンス氏は2人の閉会式参加について「昨日、来たばかりで2人は疲れている。今後、先のことを考えたい」と話すなど、含みを持たせた。

スペンス氏はこれまでの定例会見で連日、2人の大会出場について質問を受けたが「仮定の話はしない」などと、口を閉ざしてきた。この日の会見で「これまで情報共有できるものも限られていた」と釈明した。大会後の2人については「我々の義務として彼らの望みを尊重する。我々は彼らを守るし、今後も守りたいと思います」と継続してサポートする意向を示した。

アフガニスタン選手団は母国の政権崩壊を受けて出場を一時、断念。IPCも参加の見送りを公式発表していた。一方、2人は出場への強い願望と支援を求める声明を出し続けていた。24日の開会式ではアフガニスタンの国旗だけ入場行進に参加した。