日本勢のワンツーフィニッシュに、NHKの解説陣が相次いで涙した。

100メートルバタフライ(視覚障害S11)で、パラ水泳のエース木村敬一(30=東京ガス)が金メダル、富田宇宙(32=日体大大学院)が銀メダルを獲得した。木村にとって悲願の金であり、ライバル富田と競い合った道のりを知る専門家たちは、放送席で感情をあふれさせた。

NHK中継で解説を務めたアテネ大会銅メダルの杉内周作氏は「努力って結実するんだなって、あらためて感じさせてくれました」と涙声。同じく解説の生田泰志氏(大阪教育大教授)は「すごかったですね。非常にハイレベルな大会で、世界新記録がいっぱい出ている中で、日本選手が毎日毎日決勝に残って戦っている姿、それにね…」と話すと、言葉が続かずに絶句して涙。NHK中山果奈アナウンサーのフォローの後、「ずっと我慢していたんですけど、ハギトモさんの涙でいってしまいました」と続けた。

これを受け、シドニー五輪代表の萩原智子さん(日本知的障害水連理事)は「生田先生はずっと分析班でサポートしてくださっていた先生ですし、もうすごくうれしいと思います。何より2人(木村と富田)が愛される選手なんですよね。だからみんなサポートしたいって思うんですよ」と泣きながら話した。

中山アナが「本当に私たちもうれしくなるようなフィニッシュになりましたね」とつなぐと、NHKパラリンピック放送リポーターの三上大進氏は「全盲クラスの選手は1人で泳げないと言うんですね。タッパーがいて、サポートしてくれる周りがいて、いろんな人の思いがつまってのメダルだと思うと、本当に素晴らしいレースを見せてくれたと思いますし、2人のメダルの重みを強く感じました」と解説しながら、こちらも涙を流していた。