第1シードの里見紗李奈(23=NTT都市開発)が決勝でスジラット・ポーカン(タイ)に14-21、21-19、21-13で逆転勝ちし、新競技のバドミトンで日本勢金メダル第1号となった。試合後に「信じられないぐらいうれしい。夢みたい。この日のこの瞬間のために頑張ってきたので、金メダルを獲得できて最高にうれしい」とコメントした。

19年世界選手権優勝の里見は、最大のライバルと対戦した決勝で、第1ゲームを落としたあと、第2ゲームを劣勢から逆転。第3ゲームは中盤まで競り合ったが、終盤に突き放した。

中学時代にバドミントン部に所属。高校3年のときに交通事故に遭ったことで腰から下を動かせなくなり、車いす生活を送ることになった。リハビリの一環として父に車いすバドミントンを勧められた当時は「車いすの自分をあまり受け入れることができていなかった。あまり人と会いたくないという気持ちもあった」と乗り気ではなかったという。それでも「むりくり連れて行かれた」という会場でパラ競技にふれ合い、その魅力を感じ取った。「1人だったら絶対に入っていなかった世界。そこに連れて行ってくれた父に感謝している」と大会前に話していた。最高の結果で恩返しする形となった。

5日には山崎悠麻(33=NTT都市開発)とのペアで女子ダブルスの決勝に臨むことが決まっており、2冠に挑む。

◆里見紗李奈(さとみ・さりな)1998年(平10)4月9日生まれ、千葉県出身。中学時代はバドミントン部に所属。高校3年の16年に交通事故に遭い、脊髄を損傷。両下肢に障がいが残り、腰から下を動かせなくなった。リハビリの一環としてパラ競技のバドミントンを始め、約2年半後の19年世界選手権で初優勝。パラリンピック東京大会開幕時点でシングルス、ダブルスとも世界ランキング1位に君臨する。