【整氷の達人〈下〉】羽生結弦公演で振るった匠の技 思い出深い地でやり遂げた感慨

日刊スポーツ・プレミアムでは、毎週月曜日にフィギュアスケーターのルーツや支える人の信念に迫る「氷現者」をお届けしています。

シリーズ第18弾は、リンクの設営、運営などに携わる「パティネレジャー」社の高橋二男(ふたお、85)の歩みをたどってきました。最終回の「下編」では10月のジャパンオープンの整氷作業に密着。60歳での定年後も変わらぬ氷作りへの情熱、さらに2月に携わったアイスショー「GIFT」で運命的なつながりも記します。(敬称略)

フィギュア

   

高橋がホースを使い均一に散水をしていくと氷面が輝き出す

高橋がホースを使い均一に散水をしていくと氷面が輝き出す

作業に密着、1度の散水で1ミリを5センチまで

ゆっくりとホースの先を左から右へ、右から左へ。

一定の水量を保って放たれた水が静かな音を立てながらまかれると、リンクの表面が光を反射していく。

10月3日、4日後に迫ったジャパンオープンの会場に高橋はいた。

「もう十数回はここで氷を張ってますね」

全日本選手権、世界選手権などのトップスケーター達が集う会場として、期間限定の仮設のリンク作りに携わってきた歴史。

30メートル×60メートルのリンクに2人がかりで15分ほどで散水を終える。そして凍るのを待つこと45分ほど。その時間は会場の気温、湿度、外気温などによって変わる。リンクは衝撃に耐えられるように5センチ以上が必要で、1度の散水で増すのは1ミリほど。昼夜を問わず、一定間隔で作業を繰り返していく。

長いホースが絡まないように8の字にまかれるのも技

長いホースが絡まないように8の字にまかれるのも技

一度に大量の水をまいても凍るが、強度がなくなり粘りもなくなる。ジャンプを降りたときに剝がれやすくなるという。

「いまも昔もこの仕事は手作業ですね」

散水と散水の間に、最新のリンク作りの説明をしてくれた。

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2008年入社後にスポーツ部(野球以外を担当します)に配属されて17年。25年4月に初の異動で野球部へ配属となりました。競技経験はありませんが、現在は息子が通う少年野球チームで“球拾い”コーチとして奮闘中。記者としても、様々な話題を拾います。ツイッターは@KengoAbe_nikkan。二児の父です。クラフトビール好きです。