今までの優勝の中で一番素晴らしい。予選リーグから中国の大きなブーイングの中で戦い、勝ち抜いてきたからこそ、アジアでもっとも精神的に強くなっていた。相性のいい中国に対して先行したのも大きかった。この厳しいアウエーの中で勝ち得た優勝は何よりも自信になるはずだ。

準々決勝日本対ヨルダン PK戦で競り勝ち川口能活(右)に抱きつく宮本恒靖と(左から)中沢佑二、三都主アレサンドロ、本山雅志ら(2004年7月31日撮影)
準々決勝日本対ヨルダン PK戦で競り勝ち川口能活(右)に抱きつく宮本恒靖と(左から)中沢佑二、三都主アレサンドロ、本山雅志ら(2004年7月31日撮影)

振り返ってみれば、この大会は守りの優勝といえる。GK川口、DF中沢、宮本らが体を張って守りきったからこそ、勝ち進んでくることができた。紙一重の優勝だ。優勝は自信になるが慢心してはならない。

ただし、中東勢には苦しんだことを忘れてはいけない。負けはしなかったが、どの試合でも決して攻め崩していなかった。この大会ではセットプレーでの効率は良かったが、それは既に持っていた日本の武器だ。攻めの選手が少なかったとはいえ、物足りなかったのが両サイドからの崩しと2列目からの攻撃参加の少なさだった。セットプレー以外の攻撃がゴールに結び付かないと中東勢に勝つのはなかなか難しい。最終的にW杯予選を突破するのにも困難が伴う。

優勝の美酒に酔うのはわずか時間でいい。W杯予選突破を目指して日本の武器を増やして欲しい。(日刊スポーツ評論家)