鹿島アントラーズGK沖悠哉(21)が、今季からアシスタントGKコーチに就任した曽ケ端準氏(41)との“師弟関係”を明かした。チームメートから「選手とコーチ」の関係になり、以前に増して「自分が思ったこと、疑問に思っていることを素直に聞けている」と感じているという。

昨季までは1つしかない定位置を争うライバルでもあった。沖は昨夏から定位置をつかみ、21試合に出場。東京五輪候補合宿にも参加するまでに成長した。去年までも曽ケ端氏から「聞きたいことがあったら、ウエルカム」と言われていたが、沖は「互いに選手である以上、ソガさん(曽ケ端氏)にもプライドもあるし。自分もある程度(プライドを)持っていた」。聞きたいことを聞けず、自分で考えたり悩む日々を送ったこともあった。プロの世界ならではの複雑な人間関係の中で必死にもがいたのだろう。

今季からは鹿島ユースを経て鹿島一筋23年の先輩がコーチになった。沖も小学生時代から鹿島の下部組織で育った生え抜きだ。偉大な先輩に自主トレーニング期間の過ごし方、技術面など、私生活やプレー面で気になることをすべて、素直に聞けるようになった。曽ケ端氏も「コーチ目線」でアドバイスを送り、沖は「ソガさんの考えを聞いたりするのはなかなかできないこと。今の関係を大事にしていけたら」と現在の環境への感謝を口にする。

鹿島は今季、ユースの監督に柳沢敦氏が就任し、小笠原満男氏が引き続きテクニカルアドバイザーとしてユースを中心に指導を行う。トップでも曽ケ端氏がコーチに就任し「チームを勝たせられる選手を育てたい」と意欲を持つ。勝負にこだわり20冠を獲得した常勝鹿島のDNAが、OBから次世代を担う若手へ受け継がれる土台はできつつある。曽ケ端氏の経験、指導を受け継いだ沖がどう飛躍を遂げるか。サポーターも楽しみに違いない。【岩田千代巳】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「サッカー現場発」)