東日本大震災から10年。当時、サッカー少年だった中学2年生は、今やプロのサッカー選手となった。ヴィッセル神戸DF菊池流帆(りゅうほ、24)は、岩手・釜石出身。釜石初のJリーガーは、節目の年にJ1初ゴールを決めた。3月6日、敵地で行われた徳島ヴォルティス戦。1点を追う後半42分に、こぼれ球を押し込み、引き分けでの勝ち点1獲得に貢献した。
10年前。菊池は被災地の慰問に訪れた横浜FCが開いたサッカー教室に参加した。そこにいたのは、キングことFWカズ(54、三浦知良)。偉大なプレーヤーに刺激を受け、その背中に憧れた。青森山田高から、大体大へと進学。J2のレノファ山口FCでプロになる夢をかなえ、昨季からJ1の強豪、あのイニエスタも在籍する神戸の一員となった。カズと、同じ舞台へとたどり着いたのだ。そんな少年の存在に、キング自身も胸を熱くする。
カズ 自分ではそこまで影響力あるのかなと思いながらプレーしてるけど、実際に自分のことで励みになった子がいる。その子がプレーしていることが、僕自身が一番、励まされているし、頑張っていこうと思わされる。
人は知らないうちに、誰かのエネルギーとなっていることがある。そして、誰かの希望にも、成り得る。震災直後の11年3月29日。予定されていた国際親善試合が中止となった日本代表が開催を決めたJリーグ選抜とのチャリティーマッチ(長居)に、カズはJ選抜の一員として出場した。その試合で、ゴールを決め、代名詞であるカズダンスを日本中に届けた。
カズ 自分が挙げたゴールを被災地の方が喜んでくれた。1つのゴールがあんなに力になるのかと。エンターテインメントは必要だと感じた。
その存在が、ゴールが、人々の活力となり、笑顔へと変わる。
「痛みや苦しみというものは、時間が過ぎると、忘れていく。人間というものは、そういうもの。だからこそ、忘れてはいけない」
当時44歳だったカズは、54歳になった。この10年、そんな思いを胸に、ピッチを走り続けてきた。キングの姿勢は今後も変わらない。サッカーを通して、明るい光を届ける。【サッカー担当=栗田尚樹】
◆カズの劇的ゴール Jリーグ選抜の一員として代名詞の背番号11で途中出場し、0-2の後半37分に右足で得点し鎮魂、復興へのカズダンスを披露した。試合はザックジャパンが2-1で勝った。






