Jクラブからも注目される国学院久我山高のエースFW塩貝健人(3年)が、高校選抜の舞台でも輝きを放った。
11日の富士フイルム・スーパーカップの前に行われた「日本高校選抜VS横浜F・マリノスユース」との試合。後半13分から出場した塩貝が、1-2で敗色濃厚の後半アディショナルタイムに、右サイドのクロスを“カンフーキック”で押し込み同点弾を決めた。
それでも「点を取れたけど、勝てなかったのでちょっと腹立たしいですね。もう1点取れていたので、ちょっとムカつきます」と自身のプレーには満足していなかった。
塩貝は東京・国学院久我山では文武両道を貫いた。高校3年間で、主要科目ではオール5。AO入試で慶応大法学部政治学科に合格し、大学でサッカーを続ける。慶応大は23年シーズンは関東大学サッカーリーグ3部で戦う。それでもなぜ進学先に選んだのか?
塩貝は言う。
「慶応の法学部は私立で一番、難しいんです。一番難しいところを選びました。将来、負傷とかサッカーで結果残せないこともある。何があるか分からないので。自分は、どの環境でもうまくなれると思っている。1年目から3部で無双すればいい。世代別の代表に選ばれていけば慶応で良かったとなる。よく“何で3部に行くのか”と言われますけど、見ておいてください」
高校の進学先に、国学院久我山を選んだのも「勉強でもサッカーでも一番になりたい」との思いがあったからだった。中学は横浜FCの下部組織に所属していたものの試合に絡めず、中学3年で2年のチームでプレーしていた。
「めちゃくちゃ悔しくて、中学時代は悔しい思いをしてきた。自分は負けず嫌い。サッカーも勉強も、全部勝って見返したいと思っていた」と当時を振り返る。大学も「何事も一番を目指す」という塩貝らしい選択だ。
高校時代には徹底して体を鍛え、強さ、スピード、決定力を磨いた。高校年代では頭一つ抜けているザ・ストライカーのタイプだ。Jクラブのスカウトから「同年代では抜けている」「おもしろい逸材」と評価を受けている。
昨年度の全国高校サッカー選手権の東京都大会は8得点を挙げ、国学院久我山の全国大会出場に大きく貢献した。全国舞台でも2回戦・近大和歌山戦でも得点を決め、16強に進出。だが3回戦で、優勝した岡山学芸館高に0-0からのPK戦の末に敗れた。試合は国学院久我山が圧倒的に押し込み、主導権を握っていた。PK戦で唯一シュートストップされたのが塩貝だった。
「今も毎日、(PK失敗を)思い出します。でも、思い出して腹が立って仕方がない。思い出してちょっと練習しようとなるんですよ。何で置きに行ったんだろうな、と。もっとぶっ放せば良かったなと」
高校での大きな大会での失敗をそのまま終わらせる気持ちはない。「ワールドカップ(W杯)で決めればいいんです。選手権で外したからと言えるようになりたい」と言い切った。
日本高校選抜の活動で、圧倒的な決定力を見せつけてきた。1月の選考合宿の練習試合・流通経大戦、早大戦でも得点を決めた。だが、横浜ユースとの試合では先発ではなく途中出場。塩貝は自身の立場も受け止めている。
「出た試合でほとんど決めていても、先発で起用されないのは、守備面にあるのかなと。FWは自分は点だけだと思っていたけど。それ以外の所も磨いていかないと」
W杯カタール大会で日本代表FW前田大然、浅野拓磨が守備面で貢献した姿も刺激を受けた。
「大学ではめっちゃ追いかけまくるサッカーなので。大学でそこの能力を伸ばしたい。あと、高校ではヘディングはあまり練習してこなかった。ヘディングの技術も磨きたい」
将来の目標は日本代表、W杯出場を掲げる。慶応大の先輩のFW武藤嘉紀(ヴィッセル神戸)は在学中からFC東京でプレーし、日本代表でもプレーした。もちろん、学業にも力を入れるつもりだ。
周囲は当然、司法試験を目指す学生も多い。「取ろうかなと思ったりしなくもない」と文武両道を貫く覚悟も口にする。
司法試験に合格した異色のJリーガー誕生に期待せざる得ない。【岩田千代巳】




