<高校サッカー:山梨学院大付2-0矢板中央>◇準決勝◇9日◇国立

 山梨学院大付(山梨)が、矢板中央(栃木)を下し、初出場ながら決勝まで駒を進めた。前半34分、MF鈴木峻太(3年)が左足で先制ゴール。左ひざのケガを抱えていながらも高校に勧誘し、「自分を救ってくれた」という横森巧監督(67)への、恩返しの1発だった。決勝戦は11日、国立競技場で行われる。

 3年間の思いを、左足に込めた。鈴木は狙っていた。前半34分、目の前に転がってきたボールを、迷うことなく蹴りこんだ。ボールはGKの股間(こかん)を抜き、ゴール右隅に刺さった。鈴木は「テツ(MF碓井)がシュートを打った時、自分のところにボールが来る思った。気持ちでガツンと打ちました」と興奮気味に振り返った。

 恩師にささげる1発だった。長野県のFC

 ASA

 FUTUROでプレーしていた中3の春、左ひざの軟骨を痛めて手術。その後も再発、手術と繰り返した。進路を決める大事な1年を棒に振ったが、声を掛けてくれたのが横森監督だった。「ケガをする前のプレーを見てくれていたみたいで、それがよかったからと、熱心に誘ってくれた。横森先生は、何もない僕を救ってくれた。優勝して恩返ししたい」と言い切った。

 高校入学後もリハビリが続き、調子も上がらなかった。2年のインターハイは、応援席にいた。今大会の県予選も控えに甘んじ「優勝したけど、もどかしかった」。大会直前の合宿で結果を出してようやく先発の座をつかみ、国立という大舞台で輝きを放った。

 横森監督は「サッカーをよく知っているし、勤勉な選手。本人も点を取りたいと張り切っていた。それを実行した鈴木はすごい」と褒めた。同監督にとっては、韮崎時代の82年度大会以来、4度目の決勝。過去3回はいずれも準優勝に終わっている。「苦しい場面は多いと思う。でも、(選手は)自分たちで場面を変えられる。チャンスは必ずつくれる」。教え子たちを信じ、「初出場優勝」と「4度目の正直」を見据えていた。【今井恵太】