なでしこジャパン(FIFAランク11位)がオーストラリア(同6位)と1-1で引き分け、8大会連続8度目のワールドカップ出場を決めた。後半18分にMF阪口夢穂(30=日テレ)が先制ゴールも、41分に追いつかれた。ベトナムを下した韓国も含めた3チームが勝ち点5で並び、規定により日本はB組2位で4強入り。上位5カ国に与えられる19年W杯フランス大会の出場権を獲得した。大会連覇を目指し、17日(日本時間18日未明)の準決勝では中国(同17位)と戦う。

 なでしこの浮き沈みを知る阪口夢がW杯をたぐり寄せた。0-0の後半18分。左サイドのMF長谷川のパスを、左足で丁寧にゴールへ流し込んだ。「ちょうどいい時間帯に取れて良かった」。終了間際に失点し、最後はリスクを冒さずに自陣でパスを回してフランス行きを告げる笛を聞いた。主将のDF熊谷は「最後はもったいなかったけれど、W杯を自分たちの力で決められて良かった」と胸をなで下ろした。

 総力戦だった。16年4月に就任した高倉監督は「誰が出ても変わらないサッカー」を目標に掲げ、一貫して先発を固定しなかった。「核となる何人か以外は相手を見て決める」という考えを通し、今大会もGK以外は20人中17人を起用。オーストラリア、韓国と同組の激戦でもぶれなかった。

 11年のW杯ドイツ大会で世界一となり、12年ロンドンオリンピック銀メダル、15年W杯カナダ大会でも準優勝。日本中に「なでしこフィーバー」を巻き起こした。しかし、期待された16年リオ五輪アジア最終予選で敗退。FW岩渕は「予選を突破できず、女子サッカーもガクンと落ちた」と振り返る。

 リオ予選後に高倉監督が就任。世代交代を進め、1度は途切れた世界の舞台への再挑戦が始まった。ただ、かつての栄光を知る選手と新たに加わった選手の意識の差や、若手の伸び悩みなどでチーム作りは難航。指揮官は「予想以上に時間がかかった」と漏らした。

 昨年12月の東アジアE-1選手権は北朝鮮に敗れて優勝を逃し、3月のアルガルベ杯ではオランダに6失点の大敗。同戦後には選手だけで集まり、曖昧だった守備の決まり事を確認。団結がようやく深まった。

 迎えた大一番。泥臭く、体を投げ出すことで、連覇への道は開けた。高倉監督は「ここから優勝を目指す。1つ山を越えたところで、前向きに進みたい」。フランスで2度目の頂に立つべく、歩みは止めない。【松尾幸之介】

 ◆順位決定 日本はオーストラリアと韓国と勝ち点5で並んだ。この場合の順位決定は<1>当該チーム間の勝ち点<2>同得失点差<3>同総得点<4>グループ全体の得失点差…の順に決まり、<1)は全て勝ち点1で並び<2>も全て0で並び<3>でオーストラリアと日本が1点で韓国を上回り、<4>でオーストラリアが8で1位通過が決定。