唯一の大学生ながら1トップでスタメンに抜てきされたFW上田綺世(あやせ、法大)のA代表デビュー戦は、厳しいものになった。

“決定機”と呼ばれたシーンは3度あった。まず前半44分。MF柴崎岳の好パスでGKとの1対1に持ち込むも、かわしきれなかった。姿勢を崩しながら右足で放ったシュートはサイドネットへそれた。後半12分にも柴崎から、今度は絶妙な右クロス。遠いサイドにフリーで走り込んだ上田は右足ダイレクトで合わせたが、わずかに左へそれた。その後も24分にMF安部からの左クロスにわずかに足が届かず、得点を奪えないままFW岡崎慎司と交代で退いた。

試合後、上田は「手応えはあった。でも、それを確認しただけではすまない立場。結果を求められていたのに」と、流れを最も変える得点のチャンスを逸した自分を戒めるように話した。チリのDFについては「少しルーズなところもあるので、むしろ国内よりもやりやすいところもあった」。実際にフリーでゴール前に走り込む機会は作れていた。だからこそ、余計に無得点の責任を感じていた。

FW永井謙佑(東京)以来、約9年ぶりとなる大学生の日本代表。来季は鹿島へ入団することが発表されている有望株だ。「力不足、という言葉で片付けるつもりはない」。それで責任がなくなるなどとは思わないし、なにより結果で取り返す。その強い意志の表れだった。