【グラスゴー=佐藤成】シンデレラボーイが、最初で最後のチャンスをものにした。初選出のFW塩貝健人(21=ウォルフスブルク)が日の丸デビュー。
日本代表(FIFAランキング19位)の敵地スコットランド代表(同38位)戦の終盤から途中出場し、いきなり決勝アシスト。スピードや強度で存在感を示し、開幕が2カ月半後の6月11日に迫るW杯北中米大会のメンバー入りへ、猛アピールした。チームはロンドンに移動して31日(日本時間4月1日)にランク4位のイングランド代表と対戦する。
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やはり、ただ者ではなかった。「ストライカーとして1番手を取りにいく」「自分が一番、点を取れるのは確か」。活動初日から強気コメントを並べていた塩貝が、わずかな時間で結果を残した。後半39分、DFとの駆け引きを制して前に入ると、左からの、やや左にずれたパスを落とす。走り込んできたMF伊東の決勝ゴールをお膳立てした。
「マークの外し方は完璧だった。ボールが後ろの左足にきたので、トラップして反転シュートか、落とすか。(伊東が)見えていたので落とした。アシストついたので、悪くないなと」
ピッチに立つや、全身から前向きなエネルギーを放出した。26日に21歳になったばかりの新星は「特別な日だし、デビュー戦をしっかり楽しんで、結果も残そう」。陸上男子100メートルの世界記録保持者ウサイン・ボルトの走り方も参考に、オランダ時代はアヤックス戦で時速36・2キロを計測。時には日本最速のイナズマ伊東よりも速いスプリント力で、ピッチを切り裂く。2トップの左に投入されたが、守備では反対の右サイド深くまで戻るなど、強度の面でも合格点を受けた。
ワンダーボーイだ。プロになって1年半。今季はオランダ1部で、途中出場だけで7得点。約16億円の移籍金を残して5大リーグのドイツへステップアップすると、またも途中投入から初ゴール。「長いプレータイムをくれたら、もっと結果を残せる」と言い放つメンタリティーをA代表デビュー戦でも隠さず、森保監督からも「特長を還元してもらえた」と絶賛された。
英国遠征がスタートかつラストのチャンスだった。本大会まで2カ月半。練習から力を証明し、試合でも光ってW杯メンバー入りを現実にしようとしている。「長い間、日本代表でプレーしたいので、その始まりかなと思っている。今日は点を取れなかったけど、絶対、次は自分のところにチャンスがくる」。日本の夢も膨らむ15分間となった。
◆塩貝健人(しおがい・けんと)2005年(平17)3月26日生まれ、東京都出身。バディSC江東、横浜FCジュニアユースをへて国学院久我山高、慶大から24年、J1横浜への加入内定と特別指定選手。同年夏にオランダ1部NECナイメヘン入り。大学の法学部政治学科は休学し、退部し渡欧した。26年1月にドイツ1部ウォルフスブルク移籍。高校3年時の夢はサラリーマン。180センチ、77キロ。利き足右。血液型O。
◆国際サッカー連盟が29日、FIFAランキングの最新版を発表。今月からリアルタイムに変動するライブランキングに変わり、スコットランドに勝った日本は1つ順位を上げて18位となった。スコットランドは日本に敗れ38位から40位となった。

