日本サッカー協会(JFA)審判委員会の「第5回JFAレフェリーブリーフィング」が21日、東京・本郷のJFAハウスで行われた。

 相互理解を高めるための7月に続く説明会で、小川佳実審判委員長と上川徹副委員長が出席し、リーグ戦やルヴァン杯など18シーンの事象を映像解説した。

 8月16日のJ2町田ゼルビア-名古屋グランパス戦(町田)で、町田MF平戸太貴が受けた「人違い退場」問題も説明した。後半44分、名古屋MF青木の中央突破を町田DF深津がファウルで止め、GKと1対1になる決定的な得点機会を阻止した場面。家本政明主審は、プレーに関与していなかった平戸にレッドカードを提示し、退場を命じていた。

 この件に関しては、試合2日後に規律委員会が「JFA審判委員会を通じて、人違いであることが確認された」と認める判断をし、Jリーグが、平戸に対して退場処分や出場停止処分は科さず、深津に退場処分と1試合の出場停止処分を付け替えた、と発表した。

 この件について、上川氏は「あってはならないこと」とした上で「どうミスをなくしていくか。選手を(密集の中から)引っ張り出して提示する作業も必要だったし、副審とも無線で何番か具体的に確認すべきだった」。あの瞬間、家本主審の頭から、誰がファウルしたか飛んでしまったという。映像では、家本主審がピッチ中央からサイドラインにいる副審に退場処分が妥当か確認しているが、対象者の確認までは「思いこみ」などを理由に、確認があいまいだったことが明かされた。

 小川氏も「主審は現場で選手に確認したが、選手に答える義務はないし、我々に聞き出す権利もない。確固たるものが得られなかった」と当時の状況を説明。プレーヤーとレフェリー間のコミュニケーション不足も課題に挙げた。その上で「ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)システムの導入や追加副審がいれば防げていた。ただ、その態勢を全カテゴリーで敷くのは難しい。通常の4人だったり、3人の試合でどう防ぐか追求していきたい」と改善に努めていく姿勢を強調した。