意地を見せる。アルビレックス新潟は今日14日の第29節、ガンバ大阪とアウェーの吹田スタジアムで対戦する。勝ち点12で最下位の18位と、引き分け以下なら、他チームの結果次第でJ2降格が決定する。崖っぷちに立たされた中、DF大野和成主将(28)が復活宣言。右ひざの故障の影響でここ3試合はベンチを温めていたが、G大阪戦に向けて急ピッチで仕上げてきた。下部組織育ちの新潟生え抜きの主将が、「アルビ魂」を見せて降格を阻止する。

 なりふりかまってはいられない。「勝つしかない。みんな分かっているはず」。センターバックのDF大野主将が降格阻止の前面に立つ。新潟は試合前日のこの日、クラブハウスの練習場で冒頭のみを公開し、その後の非公開練習でセットプレーの確認をした。大野は「今季はセットプレーでやられてきた。集中した」と、G大阪対策に抜かりはない。

 出場すれば広島戦(9月9日)以来4試合ぶり、スタメンなら浦和戦(5月14日)以来18試合ぶりになる。スタメンかベンチスタートかは微妙だが、この試合にかけてきた。右ひざを負傷し6月に手術。当初は10月復帰をめどにしていたが、リハビリを切り上げて8月下旬に練習に合流。危機感と責任感、そして意地は誰よりもある。

 引き分け以下なら、広島、大宮、札幌の結果次第で14日に降格が決まる。「新潟らしいサッカーをする。出し惜しみはしない」と覚悟を決めた。

 別メニューの間、ずるずると引き下がり失点を重ねるチームにもどかしさを感じた。復帰後、実戦練習、練習試合を通して自身の思いをぶつけた。ラインを高くし、前線からボールを奪う態勢をつくる。球際で厳しさを忘れない。「そのアグレッシブさが新潟らしさ」。ピッチに立ったとき、戦況を見ながらそれを実行する。

 「戦術も大切だが、まず気持ち。そこから勢いが出る」。春日山中2年だった03年、満員の新潟スタジアム(現デンカビッグスワンスタジアム)でJ1昇格を決めた新潟を見た。新潟ユース(現新潟U-18)では念願のトップチーム入りを果たした。プロ入り10年目の今季。主将としてクラブ史上最大のピンチに直面している。「先輩たちが築き上げてきたJ1。失うわけにはいかない」。土壇場で生粋の新潟の魂を見せる。【斎藤慎一郎】

<今節の降格可能性>

 新潟は第29節(14、15日)でG大阪に敗れるか引き分けた場合、降格の可能性がある。勝った場合は第29節での降格はない。第29節で新潟の降格に影響を及ぼすチームは14日に試合がある14位札幌、15位広島、17位大宮、15日の16位甲府。

 ◆引き分けの場合 新潟は勝ち点は13になり、残り5試合で最大勝ち点28。次の3パターンのうち、2つを満たされると降格。(1)14位札幌(現勝ち点28)が勝つか引き分け(2)15位広島(同27)が勝利(3)16位甲府(同27)が勝利。

 ◆敗戦の場合 新潟は勝ち点12のままで、残り5試合で最大勝ち点27。次のいずれか1つを満たされると降格。(1)15位広島が勝つか引き分け(2)16位甲府が勝つか引き分け(3)17位大宮(現勝ち点22)が勝利。※大宮は第33節(11月26日)で甲府と対戦する。そのため、大宮が第29節で勝利した時点で、大宮と甲府のどちらかが必ず勝ち点28以上になる状況が生まれ、新潟はJ1残留圏の15位以内に入る可能性がなくなる。