浦和レッズがアルヒラル(サウジアラビア)からアウェーゴールを奪って1-1で引き分け、アジア王者へ前進した。GK西川周作(31)が至近距離からのシュートを止めるなど、長くボールを支配された試合で好セーブを連発。最後のとりでとして逆転を許さなかった。ホームでの第2戦で勝つか0-0で引き分ければ、10年ぶり2度目の優勝と12月のクラブW杯(UAE)出場が決まる。

 白い装束に赤いターバン姿の約6万人がスタンドでウエーブを起こし、青と白のタオルマフラーを振り回す。中東の熱狂の中、西川は冷静だった。最初の見せ場は1-0の前半23分。自陣左サイドからのクロスをゴール前でフリーのFWハルビンに合わせられたが、体を投げ出して右足でセーブ。今大会得点ランク首位のシリア代表を止めた。同33分にもハルビンの至近距離からのシュートを左足でストップ。「味方のサポートをすることに集中していた」。冷静さを保って度重なる危機で好セーブを連発した。

 同37分に失点し「あと1歩の寄せが…」と悔しがったが、シュート20本を浴びて大差がついてもおかしくない試合を引き分けに持ち込んだ。CKの際には上半身にレーザーポインターのような光を当てられる場面もありながら「押し込まれることも多かったけど、最低限の結果を持ち帰ることはできた」と前を向いた。

 トレードマークの笑顔は控えた。「まだ何も成し遂げていない」。昨季はチャンピオンシップ決勝第1戦で勝って年間王者に王手をかけながら第2戦で鹿島に逆転され、クラブW杯の出場も逃した。浦和のホーム埼玉で歓喜し、クラブW杯で欧州王者Rマドリードに肉薄したライバルの姿は脳裏に焼きついている。ACLというより厳しい道を進み、昨年と同じ場所まで戻ってきた。「もう悔しい思いはしたくない」。あの時の敗戦が西川を奮い立たせた。

 チームは19日に帰国し、25日の第2戦に向けて体調を整える。無失点で終えれば、10年ぶりのアジア制覇とクラブW杯に手が届く。「ホームで必ず勝ってチャンピオンになりたい」。昨季あと1つ足りなかった勝利を今度こそつかみ取る。【岡崎悠利】