ベガルタ仙台のFW石原直樹(33)が今季10得点目を挙げ、3年ぶりの2桁ゴールでホーム最終戦をしめくくった。1-1で迎えた前半28分、直接FKからDF平岡康裕(31)が競り合ったボールをワントラップ入れて冷静に右足で決めた。後半にオウンゴールで横浜F・マリノスに追いつかれ勝ち点3こそ奪えなかったが、チームの年間MVPに選出され、プロ15年目のベテランがJ1での3度目の2桁ゴールに花を添えた。

 放ったシュートは横浜の10本に対して23本。波状攻撃で圧倒し最終戦で進化形を見せつけた。その立役者は石原だ。FW西村拓真(21)ら若手をピッチ上で容赦なく叱責(しっせき)し動きの質を高めてきた。石原は「うるさいと思われていたかもしれないが、言うことによって自分もやりやすくなる。無駄なクリアや前線が準備できていないロングボールも減った。ボールを受ける2人目、3人目の連係もできてきた」と手応えを口にした。

 もはや石原のチームといってもいい。試合後、渡辺晋監督(44)は「存在が大きすぎて語り尽くせない。直がいなかったら今年のやり方はできなかった。イライラすることもあったと思うが、ピッチ上では先生のように振る舞ってくれた。(自身)最多タイの10点とれたことは周りがお膳立てできるようになった証し」とチームの成長プロセスに欠かせない存在だったことを説明した。

 「もう1試合あるので」と石原。最終節のアウェー甲府戦で自己最多の11ゴールを狙いにいく。【下田雄一】